■9回目 舞台「メシアは二度殺される」: 登場人物の印象・考察:中編 | ふとした時に現れるアジア大陸

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【togetter】

たま企画リターンズ「メシアは二度殺される」-出演者まとめ

たま企画リターンズ「メシアは二度殺される」-感想まとめ

 

前回の続きです。前編から記事を読んでください。

ここでは出演者様の印象、考察を綴ります。

多分文字数的にも多くなると思いますのでよろしくお願いします。

 

◆ヨハネ

ヨハネは「あの方」の弟子の一人です。

舞台上ではあまり明かされませんでしたが、気性が荒くて

「雷の子」と言われていた人物です。

人物像は確かに気性が荒く、いつもナイフを持ち歩いていて

序盤であの「ユダ」を殺してしまいます。

(あの方を裏切ったとされる人物です)

弟子達から咎められても反省の色すら見せないヨハネがどうして

殺したのかというと、ユダの持つ「秘薬」の在り処を知るために

探っていたのですが、その気性の荒さから…でした。

彼は現代でいう所のチンピラではありますが、その心に宿る

殺気や自我は弟子たちの中でも一際目立ちます。

自分の為ならばなんでもやる。

「あの方」の弟子になった理由は「あの方」と「秘薬」の効果により

増えていった信者たちの貢ぎ物や食べ物で豊かな生活が

出来たからでしょう。実際「あの方」が生きていた当時は十分な

生活が出来ていたのかもしれません。

特に「秘薬」は「あの方」の存在がなくとも再び元の豊かな生活に

戻れるほどの効果を見せる事が出来る代物です。

ですがユダを殺したことにより万事休す、となります。

そんな時に現れたヤコブを「あの方が復活した」とシモンとマリア

サロメと共に噂を流し周り、布教活動を始めました。

街中はその話で持ち切りになり、思惑通り信者は増えていきます。

それから月日が経ち、ユダから製造方法を知るサロメを

追いかけろとペトロに促され、彼はサロメが行っていた「儀式」の

存在を知ります。痛めつけてサロメを連れ戻してきたヨハネは

製造方法を吐かせるために再び痛めつけます。

腹部を蹴り、頬を殴り、笑みさえ浮かべてしまうほど楽しむ彼には

それすらも遊びのように感じていたかもしれません。

サロメが自死する道を選んで奪ったナイフで致命傷を負って倒れ

伏した時に諦めたように「とどめをさしてもいいか?」と問いかける

彼の残虐性に、弟子たちはどこか慣れているようにも見えました。

同じ「あの方」の下で過ごしてきた弟子、ユダですらも簡単に

殺めてしまった彼を止めようとする者は居ません。

けれど決して彼が「悪」なのかと言われると、難しいです。

彼は「忠実」です。誰に対しても、自分に対しても忠実過ぎました。

頼みを断った事もありませんし、やると決めた事は必ずやり遂げます。

最後に彼がどうなったのかは描かれませんでしたが、きっとシモンや

デボラ達と共に居るのでしょう。

その理由は本人にしか分かりません。

 

◇印象

ヨハネ役のひろせなおやさんはどうやら声優もやられてるみたいで

確かに凄い声の通りの良い人です。

なので小声の台詞が多かったりもしたんですがよく聞こえるという

不思議な現象が起こりましたw

強面なヨハネの画像をTwitterのアカウントにされてたりするので

とても気に入っているご様子。

アンデレもそうですが、ヨハネも一癖も二癖もある役で

役柄に関しての濃度が高かったです。

演者様の力の部分が強い所もあるのだと感じております。

御出演お疲れ様でした!

 

◆デボラ

「あの方」と関わりのある高齢の女性です。

関わりのある、と書いたのは、調べた所によるとどうやら現代に

残る歴史上でも弟子という繋がりではないようです。

多分…協力者のような立ち位置ではないでしょうか。

ユダが作っていた「秘薬」よりも効果は劣りますが、彼女も

自身の手で作り上げた薬の研究を行っていて、その効果を

信者たちに与えたりしています。

以前、人を生き返らせた事もありますが、あれもいわば薬による

仮死状態にしただけだと暴露してしまいます。

ヤコブを「あの方」として復活させた事にした際、自身の薬を

浴びせて洗脳?する事により幻覚?を見せます。

兄である「あの方」との同化を図ろうとしますが失敗。

未完成の薬での限界を感じている為、ユダが持っているとされる

「秘薬」を手に入れたいという目的がある。

「不老不死」の秘薬を作る事が目標とされるが、その理由は不明。

「永遠の若さ」と劇中で告げていた為、もしかしたら若さを取り戻したい

という気持ちがそうさせているのかもしれません。

金品にも目がなく、貿易商夫婦が持ってきた金貨に沁み込んだ

手汗の匂いを嗅いだりと強欲さはヨハネよりも持っています。

終盤の場面でペトロに「神はどこに居るのだろう?」と問いかけられ

「脳みその中さ」と現実を見せつけます。

誰よりも現実を受け入れ、誰よりもその重みを知るからこそデボラは

不老不死を手に入れたいのかもしれません。

デボラは薬を作り続けます。

今度は成功するよと言って、どこかへ去っていきました。

今度は誰に与えるのか、それとも。

 

◇印象

デボラ役の三石美咲さんは初めてお目に掛かる女優さんでした。

海外でも舞台の経験をされているそうで、何でしょう。

とてもお強かったですw

堂々とした演技が印象的でブレない心を持った

デボラのイメージに当てはまる方でした。

芯の強い人間というのはこんなにも自分の信念に忠実で

ヨハネとは同じようで違う人間の在り方を垣間見た気がします。

ただ高身長にあの高齢の女性役で腰を曲げられていたのが

大変だっただろうなと見ていて感じておりました…。

御出演お疲れ様でした!

 

◆シモン

「あの方」の弟子の一人です。

「熱心党のシモン」と言われた彼もまた忠実な人物でした。

ペトロが一番弟子だとしても、しっかり者でリーダー的な思考を

持っていて頭もよく切れます。

ヨハネ、サロメ、マリアと共に町へ布教しに行く際にも

独特な作戦により成功させています。

軍師のような役割を持っていたシモンも「あの方」に対しての

忠誠心を持っており、ただペトロやアンデレとはまた別の熱心。

野心と言っていいものを掲げていたようにも思います。

ただパウロやカヤパ(司祭長)への対応を見るに

彼の世渡り術の高さも伺えます。

彼がどうして「あの方」の弟子となったかは、その熱心が

理由の所もあるかと思いますが、彼は従順さを求めているような

気がしました。

誰かの心で従順であればあるほど、彼は熱心で居る事が出来る。

サロメを失くしたマリアへの言葉は、彼が正しいと思ったから

彼が求めるものと思ったからこその奮起の言葉。

その言葉によりマリアは奮起し、そして自分の役割を全うした

訳ですが、シモンの利用性は計り知れないものを感じます。

結果的にヤコブを殺す事をマリアに強要した一人ですから。

ヤコブが殺された後の動向は分かりません。

ペトロやデボラが生きているという事は、ヨハネと同様に

生きているのかもしれません。

彼の熱心が、野望は尽きてしまったのか。

それともまた別の方法を考えているのか。

それでも彼は忠実に生き続けるのでしょう。

生きる事を諦める事はないでしょう。

 

◇印象

シモン役の黒田歩さんは以前「ELPIS page」で拝見させて頂きました。

その時はお茶目で主人公と行動を共にしていた反面、終盤で

まさかの黒幕だった、という役だったのですが、今回は全く違う

役として見させてもらいまして、個人的にはこちらの方が良かったなと

いう印象を受けました。

役柄の幅広さもさることながら、黒田さんの饒舌が凄い。

特にマリアへの奮起の言葉を連ねていくあの長文を自然と

息を吐くかのようにまるでその当時に自分で喋っていたかのような

ブレることなく告げるあの姿ですよ。

カヤパとの絡みでかなり持っていかれていたギャップを見た後な

だけに集中力の高さを見せつけられた思いです。

御出演お疲れ様でした!

 

 

後編に続きます。