いよいよオリンピックが始まりましたね。私がもっとも注目している競技は柔道。これは自分がやってきた競技というところでね、注目しております。他にはサッカー、バレーボールなども注目しておりますが、やっぱり柔道は普段あまり注目されない競技なんでね。あと、その日のうちに決着がつくというのも良いですよね。他の競技のほとんどは、日をまたぎますから。まずは柔道で景気よくメダルを取って、他の競技に勢いをつけて欲しいなと思います。

そんな中、今年も誤審騒動がありました。柔道って多いですよね、誤審だ、なんだって。個人的には嫌な気分です。審判にケチつけ出したら、スポーツが面白く無くなってしまう。プロ野球の話題でも良く言ってますが、審判の判定は絶対だと思っているのでね。今回も普段柔道なんか絶対見ないであろう人たちが審判や相手の選手を叩きまくって、いつもながらモヤモヤ感が。もちろん審判のレベル云々の話もありますが、それとこれとは話が別ですからね。まして相手のスペイン選手を脅迫するなんてもってのほか。それを行っている日本人は恥ずかしいですからね。今すぐ止めていただきたいなと思います。今回の判定について、柔道を少々たしなんでいた立場から言わせていただきたいなと思います。基本は、「待て」の後の「一本」はあり得ないと思います。ただし、審判が「待て」の前に技が決まっていたと認める時は、その限りでは無いと思います。「思います」というのは、その時の状況によって判断が難しいんですね。今回、誤審騒動のあった男子60kg級の永山選手とスペインの選手の試合の場合は、「待て」の前に落ちた(失神した)と判断されたんでしょう。永山選手は「待てが聞こえたので力を緩めた」と言っていますので、おそらく「待て」がかかったのにスペインの選手が力を緩めなかった、だから永山選手は落ちてしまったということは間違いないと思います。スペインの選手は「待てが聞こえなかった」と話していますが、それを立証することはできません。永山選手は防御していた立場なので、審判の「待て」には過敏に反応できました。一方スペインの選手は攻撃していた立場だったので、とにかく締め落とそうと、審判の「待て」が聞こえなかったとしても、それはお互い一生懸命やってる結果なのでね。そういうことも私の経験上あり得る話だと思います。なのでスペインの選手への口撃や誹謗中傷、ましてや脅迫などあってはならないこと。おそらくそれらを行っている日本人は柔道などやったことが無いのだと思いますが、だとしても残念でなりませんね。実は私も高校時代、練習中に「落とした」経験がありまして、人って簡単に「落ちる」んですよね。あ、ごめんなさい、「落ちる」って、失神した状態のことを柔道界ではそう呼びます。「花園に行く」とも言いますね。私は「落ちた」経験がないのでわかりませんが、「落とされた」人の体験談を聞くと「落ちる」寸前、とっても気持ちが良いんだそう。まるで花園に来たかのような…それは置いといて、当時の私も特別に力を込めた訳じゃないのに、気づいたら落ちてたみたいな感覚。私の記憶では、私自身に「落とした」実感は当時無かったと思います。「落ちた」ことに気づいたのは柔道部の先生。普段はほとんど動かない先生が、急に私たちのところに来て「落ちた」部員の背中をぐんって。30年以上前の話ですからね、私もうろ覚えながら記憶を引き出しながら書いておりますが、先生が処置を施し出したのを見て、初めて「落とした」ことを実感しました。それくらい、普通に簡単に落ちてしまう。落とした側は加減することはできません。だから、落とされる前に「まいった」しなければいけないんですね。「まいった」しなければ、「落ちる」まで締め続けることになるんです。柔道って、私は生きるか死ぬかの勝負だと思っているので、「一本」取らなければいつかはやられてしまう。それが国を代表する選手どうしの試合なら尚のこと。なので、スペインの選手を非難することは理不尽にも程がありますからね。止めていただきたいなと思います。

一方、審判の方はどうか。おそらく前述したとおり、「待て」の前に落ちたという判断だったのでしょう。主審は「待て」をかけた後、何かを確認するように覗き込んでいましたから。そういえば今回の試合の主審、女性でしたよね?他の男子の試合も女性が多かったような気がします。逆に女子の試合は男性審判が多かったような…意図的にしてるんでしょうか。だとしたら理由は?東京五輪はあまり見て無かったのですが、東京の時もそうだったんでしょうか。男子と女子ではスピードが違いますからね。女性の主審に男子の試合を上手く裁けるとは思えませんが。そこに大きな問題があるような気がしております。審判の技術は、昔に比べたら遥かに上がっています。それは間違いないところ。試合後、審判団は誤審は認めたようですね。「待て」をかけるタイミングを誤ったと。たしかに、技をかけ続けている途中で「待て」は、これもあり得ない話。膠着状態になったら速やかに「待て」です。ただ、これも難しい判断ですけどね。結局は審判の判断がすべてと言うことです。一つ言わせてもらえば、永山選手は「落ちた」ことで言い訳が出来なくなりました。せっかく指を入れて耐えていたのですから、相手が力を抜くまでは、もしくは締め技を解くまではその状態を維持して欲しかったなと、落ちてしまったら言い訳はできないというのが私の考え。それと最後の礼もね、して欲しかったですね。日本の柔道は「礼に始まり礼に終わる」ので。よく「柔道」と「JUDO」の違いなんて言いますが、礼を欠けば海外の「JUDO」を受け入れたことになる。そういった意味でも永山選手の行動は残念でなりません。礼を終えてからでも、いくらでも抗議はできるのですから。でも、しっかり切り替えて銅メダルを取ったことは素晴らしかったなと思います。永山選手は北海道美唄市出身でもありましたし、応援はもちろんしておりました。銅メダル、おめでとうございます。胸を張って、帰国して欲しいなと思います。

同日に行われた女子48kg以下級の角田選手は、見事に金メダルを獲得しました。しかし、この階級の準決勝でも不可解と思われる判定が。角田選手の対戦相手が、組み合わないとして三つ目の反則を取られて反則負け。なにが不可解かというと、相手が技をかけた後の「待て」で反則を取られたんですよね。もし、技をかける前の組み手争いのことを言ってるのであれば、そのタイミングで「待て」をかけるべき。当然、相手は抗議をしますが判定は覆らず。しかし、ここで永山選手と違うところは、納得いかないところ、しっかり礼をして握手までしております。それくらいの度量が永山選手にあっても良かったんじゃないかと、個人的には思いますけどね。翌日行われた女子52kg級の阿部詩選手に一本勝ちしたウズベキスタンの選手は、勝った瞬間一瞬小さくガッツポーズを見せるも、感情を表に出すことはありませんでした。海外の「JUDO」も、日本の「柔道」に近づいてきたんだなって、そんな気がします。一方5年ぶりに敗れた阿部詩選手は大号泣。あんなに号泣する選手を、いまだかつて見たことがありません。でも、安倍詩選手も必死なら、相手も必死。勝負は紙一重のところで決まります。ますます強くなった阿部詩選手を、4年後見てみたいですね。妹の仇はお兄ちゃんがしっかり取ってくれました。阿部一二三選手、本当に強かった。あらためて4選手、お疲れさまでした。そして金メダルを取った角田選手と阿部一二三選手、おめでとうございます。