今月22日、北海道で夏の高校野球が開幕しました。北海道は他都府県と違って夏の予選に支部予選というものがあります。これは広大な北海道ならではのシステムでして、日本の4分の1の面積を有する北海道は移動が大変。函館から札幌まで車で5時間(今は高速道路が伸びてますので4時間半)くらいはかかりますし、北北海道はもっと大変で、稚内から旭川は車で約6時間、釧路から旭川はそれ以上かかるでしょうからね。とても他都府県のように同一のトーナメントで行うのが難しい現状があります。なので北海道を10支部(広大な北海道を円滑に行政管理するため、北海道には振興局というものが存在します。それに合わせて北海道の高校野球や他の高校競技にも支部というものが作られました)に分けて、学校の移動や経済面の負担を軽減してきました。しかし、少子化の波には逆らえず、今ではピーク時の半分以下にまで参加校が激減。20年前と比べてみると北見支部は20年前が24チーム参加しているのに対し今年は11チーム、釧根支部も20年前は24チームに対し今年は12チーム、名寄支部に至っては20年前が14チームで今年はわずか5チームですからね。私からすると、5チームのトーナメントで優勝しましたと言われてもって感じ。他の多くの支部も4チームで1つのトーナメントを戦っている支部がほとんど。4チームで優勝言われてもねって。なので以前から、そろそろ支部の枠組みを見直す時期にきているのではと本ブログにも書いてきました。それと北海道出身の高校野球ファンと話していて思うのは、支部代表に誇りを持ちすぎているんですね。かつてのように各支部20チーム以上が当たり前の時代ならまだ良いでしょう。でも、今は札幌支部以外はすべての支部が20チーム以下。そんな小さな世界で代表ですと胸を張られても困りますし、南北北海道大会で同じ支部どうしが初戦で当たったりすると「どうして同一支部を早い段階で当てるんだ」とか…いやいや、支部なんて小さい話してるから北海道は弱いんだよって。前置きが長くなりましたが報道によると、早ければ来夏にも支部予選が撤廃される方向で検討されているそうです。これは私にとっては朗報ですね。朗報というか、時代の流れ的に当然だと思っていました。今の道高野連会長が就任した時、「支部格差を無くしたい」と仰っておりましたので、期待はしていました。ノーシードのチームが2勝すれば支部代表になれる支部もあれば、3勝しないと支部代表になれない支部もあったり、小樽支部なんかは一番割りに合わない支部でして、今夏シードの北照は3勝しないと支部代表になれないという。不公平にも程がありますよね。これは支部というシステムの弊害以外の何物でもありませんでしたからね。一日も早く撤廃か、支部の枠組みを変えて欲しいと願ってましたので良かったなと思いました。改革実現に向けて、議論を重ねていって欲しいなと思います。

報道によると、3回戦くらいまでは同一地区同士の対戦を組み、会場は南北海道は札幌と函館、北北海道は旭川と帯広で行われることが検討されているんだそう。なので南北海道を例にするとトーナメントを札幌会場と函館会場の2つのブロックに分けて札幌のチームは札幌会場ブロックに、それ以外は函館会場ブロックにみたいなイメージでしょうかね。ただ、均等に分けないと日程に偏りが出てしまう気がしますが、その辺はどうするんでしょうか。今年の南北海道の参加チーム数は96チーム。札幌支部だけで半分以上の54チームありますからね。さらに小樽や苫小牧近郊のチームも札幌の方がアクセスが良いですし、札幌会場に偏ってしまうと日程的に不公平が生じるような気がします。個人的には2会場というのは難しいと思いますがどうでしょうか。札幌、函館、旭川、帯広の南北2会場ずつで健闘しているのには2つ理由があると思っていて、1つは立地条件ですね。あまり球場の場所が偏ってしまうと滅茶苦茶交通費のかかる学校がでてきたりするので、前述の4都市がベストということだと思います。もう一つは球場の規模。4会場ともプロ野球の一軍公式戦が行えるくらいの施設の整った大きな球場です。釧路にも立派な球場がありますが、立地的に外されたんだと思います。他のこれまで会場となっていた苫小牧、小樽、岩見沢、滝川、士別、北見などは球場の規模が小さいですからね。特に札幌麻生球場なんかはグランド自体が狭すぎます。やっぱり最後の夏くらいは、良い球場で試合をしていただきたいですものね。私は個人的な案として、南北海道を例に挙げると札幌円山、函館千代台(オーシャンスタジアム)、苫小牧緑ヶ丘(とましんスタジアム)、小樽桜ヶ丘の4球場を会場として、支部の垣根を取っ払って例えば札幌、小樽、室蘭、苫小牧、日高方面のチームは札幌、小樽、苫小牧で、函館、長万部、倶知安方面のチームは函館で試合をするような1~3回戦にすれば良いと思っています。もちろん均等に4分割してね。2会場は厳しいと思います。北北海道も4会場くらいは必要。旭川スタルヒン、帯広の森、釧路市民、北見東陵公園の4会場で行って3回戦までは支部の垣根を取っ払って球場近郊のブロックに振り分けたりしてね。そんな感じであれば無理はないかなと思うんですがね。本当に2会場でやるとしたら、札幌近郊の学校が函館に行って試合をしたりすることになるのかな?そうなると選手はもちろん、父兄や学校関係者も大変そうですけどね。

ここまでの話はあくまで夏に限った話。秋や春は今後も支部予選という概念は存続するでしょう。いや、無くせないと言った方が正解かな?なぜなら秋はセンバツ大会の選出参考となる地区大会を行わないといけないから。北海道大会は無くせないのでそこはわかるのですが、これも以前から言ってますが秋の北海道大会出場数20チームを何とかして欲しい。キリの良い16か32チームにするとか(32チームだと多すぎですので、やはり16チームが望ましい)、もしくは支部の地域範囲を見直して5~6支部に減らし、他県の県大会のように一つのトーナメントで優勝校、準優勝校、3位校を北海道大会進出校とし、優勝校には道大会一回戦シードの特権を与えたりとか。それであればキリの良い16チームじゃなくても公平性は保たれますよね。わざわざ不公平なトーナメントにする意味が、いつも言ってますが私には良くわかりません。甲子園大会なら不公平でも全然良いんですよ。甲子園はある種お祭りですからね。でも、甲子園をかけた大会は出来る限り不公平を無くさないと。そこも改革して欲しいなと思います。

さて、各支部予選はおおむね順調に日程をこなしておりますが、注目の田中稜真投手(旭川実、右投げ、3年)が初戦の旭川南戦に先発し、6回15奪三振パーフェクトという快投を演じました。私も映像で見てましたけども、真っ直ぐはほとんどバットに当てさせていませんでしたね。現千葉ロッテマリーンズのお兄さん(田中楓基投手、育成契約)より素質は上だと私は思っていますので、このまま勝ち上がって甲子園で見てみたいなと思わされる投手の一人でした。そしてもう一人、プロ注目の投手が帯広にいたんですね。渋谷純希投手(帯広農業、左投げ、3年)は初戦の帯広緑陽戦に先発し、1安打22奪三振の完封で初戦を突破しました。9回二死までノーノー(無安打無得点)を継続、惜しくも大記録はなりませんでしたが多くのスカウト陣が見守る中でのこの快投は、素晴らしいの一言です。残念ながら映像は見れてませんが、最速143キロということなので変化球も良い投手なのでしょうか。なんか怪我に苦しんでいたようで、初めて公式戦に登板したのが今春ということですね。次戦は十勝支部第一シードの帯広大谷戦。格上相手にどのようなピッチングをしてくれるのか、大いに期待したいなと思います。

北海道には各支部に1チーム必ず連合チームが存在します。学校としてチームを編成できない救済措置として、複数の学校でチームを組んで良いですよというのが連合チーム。しかし、お互いの学校が離れていたりすると練習もままならないでしょうから、ハンディは大きいと思います。たいていの連合チームは初戦敗退か、勝っても1試合。そんなハンディが大きいはずの札幌支部の連合チームが、今春支部予選で2勝しました。札幌あすかぜ、札幌北斗、札幌東豊、野幌の4校連合。昨年までは、主に札幌北斗と札幌東豊が連合を組んでいて、札幌あすかぜ、野幌は単独で出場していたりしたんですが、札幌北斗と札幌東豊の連合チームは常にコールド負け、野幌に至っては20点差で負けるのが当たり前みたいなチーム。それが今春2勝したんですから、びっくりしました。実は昨秋から連合に加わった札幌あすかぜは、昨年までは割りと公式戦で勝ってるんですよね。なので今春の2勝は札幌あすかぜの力によるところが大きいと私は思ってました。で、今日の北広島との初戦。映像で見たんですけれども、いやいや、そんなことないなって。確かにピッチャーはあすかぜの子が頑張ってましたけど、他の3校の子たちも良い選手が多くてびっくり。なにより一番感じたのは、学校間の壁を感じさせない一体感、和気あいあい感がありました。札幌北斗と札幌東豊は旧チームから連合を組んでいたのでそれなりに選手間の意思疎通は取れると思いますが、昨秋から加わった札幌あすかぜや野幌の選手たちは、それは容易ではなかっただろうと想像します。しかし実は旧チームの時、札幌北斗、札幌東豊の連合チームと札幌あすかぜは公式戦を戦ってるんですね(昨夏12-4で札幌あすかぜの8回コールド勝ち)。これが、ここまでまとまりあるチームに変貌した要因かもしれません。昨日の敵は今日の友みたいな。札幌北斗も札幌東豊も野幌も、近年は公式戦で勝った経験が無かったでしょうから、春の2勝はめちゃめちゃ自信になったはず。それが今日の北広島戦にも活きて、10回タイブレークの末競り勝つという最高の結果をもたらしてくれたような気がします。次戦は石狩南。決して弱くはない相手ですが、判官びいきとはこのことでしょうか、連合チームを応援せずにはいられません。