大相撲初場所は昨日が千秋楽、13勝2敗で照ノ富士(横綱)と琴ノ若(関脇)による優勝決定戦となりましたが、照ノ富士が横綱の貫禄を見せて優勝しました。解説陣からは、腰や膝の故障を不安視する声も聞かれましたが、これまでも照ノ富士はそういう声がありながら優勝してましたし、序盤の取りこぼしは良くあることなので、私は全然不安には感じていませんでした。むしろ照ノ富士の豊富な経験が後半活きてくるだろうと、大栄翔(関脇)以外の大関や関脇陣が照ノ富士に勝つ姿が想像できませんでしたから、当然の結果と言えると思います。そもそも3場所ぶりに出場に踏み切ったということは、ある程度やれると思っての出場だったろうし体調も良かったはずで、大関以下は上の番付を目標にというところなんでしょうけど、横綱は優勝しか目標がありませんからね。2場所しっかり休んでの今場所ですから、照ノ富士とすればもっともいい形で場所を終われたのではないかと思います。照ノ富士を見ていていつも感心するんですけど、自分の取り組み後、必ずNHKが流すVTRを花道の奥で見返すんですよね、勝っても負けても。あれは他の大関陣は見習っていただきたい。最近は自分のVTRを見ない大関が多くて、そういう大関は数場所で大関を陥落しております。そこが照ノ富士と三役力士との違いなのかなって思っておりました。千秋楽のインタビューでは珍しく照ノ富士、ニコニコでしたね。よっぽど嬉しかったんでしょうね。2場所全休して横綱の特権を活かした、さすがの優勝でした。

優勝決定戦で惜しくも敗れた琴ノ若は、場所後、大関昇進への動きがあるようです。13勝2敗ですから、当然の流れでしょうね。私は照ノ富士に本割りで完敗した時、正直もう駄目だと思ってました。翌日が霧島(大関)戦でしたし、気持ち的に分が悪いのではないかと。しかし、気持ちを切り替えて霧島に勝ちました。あの一番が、大関昇進をグッと手繰り寄せたのではないでしょうか。優勝決定戦になれば、相性の悪い照ノ富士相手でもわからないと思ってましたし、優勝決定戦で横綱に負けましたけど、最後まで諦めない姿は感動すら覚えました。堂々の大関相撲だったと思います。

今場所は上位陣が安定した成績で、大相撲らしさが戻ってきた場所でもありました。霧島や豊昇龍の大関陣も最後まで優勝争いに絡みましたしね。霧島は、横綱昇進はご和算になりましたけど、チャンスはまだまだあると思います。来場所以降は琴ノ若というライバルが一人増えますが、大関4人で切磋琢磨しながら頑張って欲しいなと思います。

三賞は殊勲賞を若元春(前頭筆頭、10勝5敗)、敢闘賞を大の里(前頭15枚目、11勝4敗)、技能賞を琴ノ若が受賞しました。おおよそ予想通りでしたが、大の里はやばいですね。私はひょっとすると、次の横綱候補に挙げても良いお相撲さんだと思っています。相撲内容もさることながら、インタビューの受け答えが良いですよね。はきはきと、落ち着いて尚且つ謙虚な受け答えで。礼節もしっかりしていそうですし、個人的には好きなお相撲さんです。来場所以降も、注目したいなと思います。もう一人、途中休場の朝乃山(前頭7枚目)は最後の3日間再出場して9勝まで白星を伸ばしました。全治二週間の診断でしたから、私は最後まで休むべきと思っていたのですが、ご本人が相撲を取れると判断しての再出場ですから、とやかく言うつもりはありません。期待が高い朝乃山ですが、しかしながら今の相撲内容では大関復帰は遠いでしょうね。先日も書いた通り、怪我が多いことが最大の理由ですが、朝乃山の最近の相撲を見てると、怪我することが当然の相撲なんですよね。大関時代もそうでしたが、自分十分の四つ相撲の形があるのに勝ち急ぐ。まわしをしっかり取らないまま攻めるので、土俵際で逆転される。それが怪我に繋がっていくというね。なぜ、しっかりまわしを取って攻めないんでしょうか。おそらく、自信がまだ無いんだと思います。だから勝ち急いでしまう。琴ノ若を見てください。しっかりまわしを取って攻めてましたよね。落ち着いてました。あれは自信がついてきた証拠。ああいう相撲が取れないうちは、朝乃山には酷な話ですが、三役すらも維持できないと思います。

来場所の番付けですが、琴ノ若の大関昇進が確実ですので三役は3枠空くことになります。前頭筆頭で10勝の若元春は関脇返り咲きが確実、同2枚目で8勝の阿炎も小結返り咲きが確実でしょう。もう1枠は同5枚目で8勝の錦木でしょうか。成績的には物足りないですけどね。他に候補者がいませんので、そうなろうかと思います。それだけ、今場所は上位陣が充実していたということですね。一方、幕内から十両へ下がるのが確実なのは4人、十両上位の好成績は大奄美(十両筆頭、8勝)、錦富士(十両2枚目、10勝)、東白龍(十両2枚目、8勝)、狼雅(十両3枚目、9勝)、北の若(十両3枚目、10勝)の5人。このうち4人が幕内に上がって1人が残念ながら十両据え置きになるのか、それとも幕内からもう一人陥落者が出て十両から5人を上げるのか。そうなると当落線上にいるのは北海道出身の北青鵬(前頭8枚目、2勝4敗9休)か人気力士の遠藤(前頭13枚目、5勝10敗)ですよね。こちらの動向も気になるところです。

もう一人、北海道出身の一山本(岩内町出身)は前頭7枚目で5勝10敗、まぁ、実力通りといったところでしょうか。力強い相撲を磨いて、また頑張って欲しいなと思います。