今回は前回に引き続き生理しくみと身体の変化についてくわしくお話ししていきたいと思います。
今回は卵胞期(増殖期)と排卵期の2つについてお話ししたいと思います。
まず卵胞期、または増殖期について。期間は7~9日間。
卵胞期、増殖期というのはどの器官から見るか、で呼び名が変わります。
卵胞期は名前の通り卵胞から出るホルモンが主となる時期ということ。
これは前々回も載せたざっくりイラストです。
ピンク色の卵巣というところの中に卵胞という袋があって、この袋の中に卵子が入っています。
卵子は卵胞がしっかり熟してから排卵されるので、この時期の卵胞はいわば卵子の元とも言えます。
卵胞ホルモンはエストロゲンとも呼ばれ、主に卵巣から分泌されます。
このホルモンの働きは卵胞を育てること、そして子宮の粘膜を分厚くすること。
子宮の粘膜というのは受精卵が着床する場所、生理の時には剥がれて流れ出る場所(子宮内膜)です。
子宮の粘膜が分厚くなるのを増殖するともいいます。
なので増殖期というのは、子宮からみたら場合の呼び方になります。
エストロゲンは代謝をよくする作用もあり、この時は身体も動かしやすい時期になります。
また同時期に幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの分泌も増えることがわかっていて、気分も軽やかに何でもできるようなポジティブな気持ちになります。
心と身体のバランスが一番いいこの時期。
大事な決断や新たに何かを始めてみるならこの時期がいいですね。
次に排卵期(3~5日)。
名前の通り卵巣から卵子が飛び出る、つまり排卵が起こる時期です。
卵胞期に出ていたホルモン(エストロゲン)がピークに達すると、ホルモンの転換が起こります。
エストロゲンの分泌量が一気に減り、プロゲステロンというホルモンの量が増えていきます。
(プロゲステロンについてはまた次回説明します。)
ホルモンの転換からおよそ2~3日後に、卵胞期で成熟した卵胞が卵巣の表面から破れて袋の中の卵子を排出します。
上のイラストでいうとピンク色の卵巣と青色の卵管の間に手の形のようなびろびろした部分があると思いますが、ここが掃除機のように卵巣から排出された卵子を吸い込んで卵管へと送ります。
以前お話ししたように、排卵されるのは、左右の卵巣のうちどちらかからたった1つだけです。
排卵痛があるのはこの時で、左右どちらか、ちょうど卵巣がある骨盤の前に出っ張っている骨の内側あたりがキューっと痛くなったりします。
私はおりものが毎日のように出てしまうタイプなのですが、実はおりものはこの排卵期のみに出るのが正常です。
おりものが多いのは免疫が落ちている証拠だそう。
通常排卵期にはどろっとしたおりものが出ます。
おりものは子宮頚部や膣の内膜から出ますがこれは膣のうるおいを保ち、粘膜を守ることと、汚れやバイ菌を防ぐはたらきがあります。
膣の中でとどまっているのが正常です。
排卵期は卵子が卵管に排出される時期ですから、妊娠を望んでいる場合はこのタイミングで精子が卵管内にいる必要があります。
精子は膣や子宮からすれば外敵にあたるので、通常はおりものの免疫作用で体内への侵入を防いでいます。
しかしこの排卵期だけは精子を迎え入れるために、免疫力を落として防衛を緩めるのです。
この時に出てくるのがドロッとしたおりもの。
目から涙が出たり、鼻から鼻水がでたりするのは異物やバイ菌が入ってそれを身体の中から追い出そうとして水分や粘液がでますよね。
それと同じで普段からおりものが出ているということは常にバイ菌と戦って炎症が起きていることを意味します。
現代の西洋医学的にも、通常膣の中は酸性を保っていますがストレスによってアルカリ性に傾くと雑菌が繁殖して炎症を起こしてしまう、ということが言われています。
炎症の結果出てくる粘液がダラダラと続くおりものというわけです。
私はアトピー持ちで肌荒れを繰り返しているのですが、このことを知ってから肌が荒れてくるときに合わせておりものがダラダラと続いていることに気が付きました。
今は体調管理をする上での一種のバロメーターになっています。
ということで、今回は卵胞期(増殖期)と排卵期についてお話してきました。
何か皆さんの身体でも気づくことがあったでしょうか。
次回は生理についてくわしく後編ということで、黄体期(分泌期)についてお話したいと思います。
皆さんの暮らしの中で少しでもいいヒントとなる情報となっていれば幸いです。
それでは、また。
《参考》
・堀江昭佳著:血流がすべて整う暮らし方
・真島英信著:MINORTEXTBOOK生理学第6版
・落合慈之監修:婦人科・乳腺外科疾患ビジュアルブック