スーパーで働き出した

若い若い私を可愛がってくれるパートさんたち

逆に意地悪してくるパートさんたち


様々な人に囲まれて

新たな生活が始まった

慣れない仕事で疲れはしたが

それでも仲間との遊び

猫との生活、楽しかった


新年会なども参加し

社会人を味わって、大人になった気分


スーパーには友達のお母さんも働いていて、よく気にかけて貰った


仕事が終わると働いているスーパーで買い物をし、帰宅してご飯を作る


彼氏が仕事終わりに家に来て

一緒にご飯を食べる


そんな生活が続き

私は17歳になっていた


彼氏は休みの日はパチンコ、私は仕事

この頃からおかしい事が起きる様になった

買い物をし財布を開けるとお金がはいっていない

職場の先輩パートさんが顔をしかめる

「雪乃、お金は?とられてる?」

「彼氏が持って行ったかも」

そんな会話が何度かあった


パートさんから、その彼氏と別れたほうがいいと忠告される


でも、私は何故か彼が好きで

別れようとは思っていなかった

典型的なバカ女だった


そして帰宅し喧嘩になる

せっかく作った食事は床に投げられ

彼氏は出て行ってしまう

1人掃除をしながら

どうしてこんな風になった?

と、考えていた


そんなある日

スーパーのトイレで出血している事に気がついた

妊娠していた

素直に嬉しかった


婦人科へ行く

そこでとんでもない事態が

妊娠と同時に性病も告げられた

尖圭コンジローマ?とか言うやつ

たしかに痒みとヒリヒリ感は少し前から感じてはいた

疑問に思った

彼氏以外とは身体の関係を持った記憶はない

人生で初めて性病になった

妊娠の喜びより

性病だった事に頭が支配されてしまう

深く考えず彼氏に報告した

「産みたい」

でも彼氏は何も言わない


出産ギリギリまで働いて出産費用を貯めようと考えていた

それがとても甘い考えだとその当時はまだ気付いておらず

働けば何とかなると思っていた

子供だった、世間知らずだった


1度家に帰った彼氏がその日の夜に家に再び来た

何やら紙を持っている

その紙には彼氏の家の生活費が書かれていた

彼氏のお母さんはパート勤め

お姉さんはアルバイト

母子家庭の3人家族

生活費の内訳が細かく書いてあり

後半に読み進めるにつれ

聞いたことがある様なない様な社名がズラズラと出てきた

彼氏、お母さん、お姉さんがそれぞれ借りている消費者金融の社名だった

毎月それぞれの返済額が記され


最後の最後に

この家の大黒柱は〇〇(彼氏の名前)

これだけ毎月支払いがあり

〇〇があなたと結婚し子供を育てるとなると生活ができないので、子供は諦めて下さい、と書いてあった


昼ドラかなにか?かと思った


お前たちの生活の為に子供を中絶しろと言うのか

この件で彼氏のお母さんとお姉さんが大嫌いになった

私の家の様に複雑な家庭なのかと思ったが、この家族は異様なほど仲良く幸せそうだ

彼氏はお母さんを大切にしていた

たぶん私より大切だったに違いない


後から取ってつけた様に

今月の支払いができないから中絶費用も出せないと言われた


更に腹が立ったのは

「結局、痛い想いをするのは女なんだからあんた気をつけなさいよ。」

と、まるで女性の代弁者の様に彼氏にドヤドヤしていた事だった


さすがにこの状況で子供が子供を産むのは無理があった

中絶する事になる

費用は私が出した

中絶する時、一緒に性病の治療(切る?)をする事になり

その分の費用が上乗せされ、それら全て私が支払った


悔しくて悔しくて

妊娠の事は我慢して黙ったが

性病については食ってかかった

返って来た言葉は

「お前が貰ってきたんじゃねーの」

呆れて物も言えない

「あなた以外ない」

と言うと


「別に女はお前だけじゃないから」


と、まるで性格の悪いモテるイケメン風な言い方をされ、更に腹が立ったのをよく覚えている

お前が言うな!

だれもが認めるイケメンが言うならまだ納得できる

でも、お前は言うな!!

いかり収まらず、友達に電話をしてその話をしたら大爆笑された

「どのツラって言ってやれよ」

その友達のひと言で少し救われた


仕事を休むわけにいかず

公休日に中絶し、翌日から仕事に出た。

相変わらず、財布からお金がなくなる。

ならばと家の中にお金を隠してもなくなる

まさかこんな所は見ないだろうと

じゅうたんの下、冷蔵庫

押し入れの天板の裏

様々なところに隠したがお金は全てなくなった


私がいない時に家の中でお金を探しているのを想像したら気持ち悪かった


猫が彼氏に懐かなくなった

理由はすぐにわかった

動物虐待、叩いたりしていたのだ


もう迷いはない

お前より猫が大事だ

同じ目に合わせてやろうか?


私がそんな気持ちでいる事を知ってか知らずか

私の目の前で猫を蹴った

猫は私の膝に逃げてきて顔を埋めて動かない


台所から果物ナイフを手にした

彼氏は笑っていた

「冗談だって!」

冗談で猫を蹴るのか?

頭は大丈夫か?


中絶したばかりで精神的にも落ち込んでいた私は

もうダメだこいつ、と思い

別れを切り出した


そしてまた言われた

「別に女は他にもいるし!」


だからお前が言うな!腹立つ!


そこで別れが成立したが

帰る寸前に、最後に私を蹴っとばした。あまりの力に壁までぶっ飛んだ

、痛かった

痛かったけど、猫が可哀想で可哀想で、猫を抱いて泣いた


そのタイミングで母が出稼ぎから帰ってくる事になった

交通事故を起こしたと言う

お金が必要だと言ってきた


どいつもこいつも何を言っているの?

結局、弁護士さんに何とかして貰ったが保険で全てどうにかなっていた。じゃあ、どうしてお金が必要だと言ったの?


さすがにメンタルがやられてしまい、そして翌日に高熱を出し仕事を休んでしまった

夕方、職場のパートさんが家に来た

ビニール袋にはお米と梅干しとキャットフード

「いいから寝てなよ」と私の為に布団を敷いてくれ

台所に立ち手際よく梅がゆを作って食べさせてくれた

猫にもご飯を食べさせてくれ

猫はその方の足元でゴロゴロ喉を鳴らしていた


その方に彼氏との喧嘩、別れを話した

「雪乃!正解!そんな男はいらない!」と褒めて握手してくれた

そして、母がこの家に帰ってくる事も話した

「雪乃には、お母さんはたくさんいるから。どのお母さんでもいいから何かあったら助けを求めなね」

心強かった

たしかに、言われてみれば私にはお母さんと呼ぶ人が何人もいた


でも、その後半年くらい働いてスーパーを辞めてしまった

帰って来た母はパチンコばかりして、仕事中にお金を貸してと職場に顔を出す様になったから


もちろん私に良くしてくれたパートさんたちは

「雪乃、大丈夫?お母さんまた来ていたけど。。」

とお金の無心に来る母を見て、私の事を心配してくれていた

彼氏の事になると、あんな男別れな!と怒っていたパートさんたちも、さすがに実の母親の事になると気を遣って言葉を選んでくれた。


その頃、姉は婚約し幸せ絶頂

毎日楽しそうに暮らしていた

でも私の事は忘れずこまめに連絡をくれた、ありがとう


18歳になっていた

まだ人生諦めていない、車の免許を取ろうと決めた


別れた彼氏からはたまに電話が来ては、謝罪される日々。

私もバカだから、少しずつ彼を許していた。


18歳、友達が高校を卒業する年

みんなも自動車学校へ通い始め、就職の話もチラホラ出てくる時期。

卒業したら遊ぶ事も少なくなるだろうなと思うと寂しかった