繋留流産の原因は胎児の側にあると説明を受けた。

胎児の側にどんな問題があったんだろう。

そのまま月満ちて生まれてたら、どんなだったんだろう。

人間の形で生まれたのかな?

妊娠した実感の育たないうちに流産して2ヶ月。

人間の子どもがおなかの中にいたとはとても思えないのが本音だが、いつかどこかで会えるのなら会いたいのもやはり本音。

「流産を予防する薬」だとして産婦人科から処方されている。


私がこのままあと10年妊娠せずに服用し続ければ、この産婦人科はどのくらいの利益を得るのだろう。

と、薬を飲むとき時々考える。


いずれにせよ、流産したから「流産を予防する薬」が出ている。

服薬するたびに流産をしたのだと思い出す。

流産が分かるとすぐに内容物除去術という手術を受けた。

このとき子宮内にあったのは人間や生命のあるものでなく「内容物」だったということだ。


いつから命ではなくなったんだろう。いちばん最初から命ではなかったんだろうか。

それが人間だった時間があったんだろうか。私の子どもだった時間があったんだろうか。

妊娠していると思っていた期間、私は命のないものを私の子どもだと思っていた。


32歳、この6月に初めての妊娠、流産。


妊娠を疑い産婦人科を受診、妊娠がわかる。その2週間後の受診で流産が確定した。


初診後の2週間はもちろん妊娠していると思っていた。自分は母親になるのだと思って食事に気をつけたり、生まれてくる子どものためノートに、初診時に撮影した超音波写真を貼ったり、日記などをつけたりしていた。

結局、流産した今振り返ると、このときにしていたことは「妊娠ごっこ」にすぎない。


生きていく上での経験はどれもいつか何かの役に立つ。この妊娠ごっこもいつか役に立つときが来るのだろう。


でも今はそんなきれいごとは言えない。

流産がわかった夜、妊娠ごっこ中に断っていた酒を飲んだ。