子宮頸がんワクチンのキャッチアップ接種が令和6年度で終わります。あと一年一ヶ月くらいで終了と言う事です。

 まだの方は是非是非お受け頂きたいと思います。従来6.7割の予防効果だったのが9割の予防効果にアップしたシルガード9がうてますので特にお薦めしたいと思います。

 しかしです。やはり出て来たのがワクチン中止になった原因の慢性疼痛や筋力低下などの副反応を訴えておられる方々の訴訟のニュースです。

 医学的、科学的には因果関係は明らかでは無いと結論付けられ、今の積極勧奨再開に至った訳ですから、訴訟は訴訟として気にしなくても良いのかも知れませんが、私はなかなかそう言い切れる程に理性的でもありませんし、内科や小児科の先生方と違って、子宮頸がんは異形成の段階で何年も足踏みする事が多く、検診さえきちんと受けていれば早期発見して治癒可能である事を身をもって知っています。なので、絶対ワクチン受けなさいと強く言う事もあまり出来ません。

 コロナワクチンにおいても、副反応で亡くなった方もありました。勿論多くの高齢者の方の命を救ったワクチンではありましたが、私の身内が亡くなっていたらワクチン反対派になっていたに違い有りません。子宮頸がんワクチンに関しても自分の2人の娘達にうつかどうか迷いました。結局はうって2人とも副反応無く済みましたが、たまたま何万分の一かの慢性筋肉痛になって普通の日常生活が送れないような状態になっていたら、当然ワクチン反対派の急先鋒となって運動していたことでしょう。

 なので私の結論は、うんと心配性のご両親はワクチンはやめておきなさい。普通に楽観的な方は是非是非お子さんに受けさせてあげて下さい、と言う事になってしまいます。陳腐ですみません。

 いつもこの問題を考える時に頭に浮かぶのが、夏目漱石の草枕の有名な書き出しです。

 智に働けば角が立つ、情に棹させば流される、意地を通せば窮屈だ、とかくに人の世は住みにくい。

 智と情の間でゆらゆら揺れるやじろべいのようです。