さて少し間が空きましたが、前回述べた破瓜の出血が1週間続いて止まったと言う表現が書かれていた文豪の作品はまだ見つけられていません。村上春樹でも森鴎外でもありませんでした。シルバーウィーク中も私の読書旅は続いていたのでした。
性交困難(挿入困難)で来院される方のほとんどは、ネットで調べて自分は処女膜強靭症だと思い込んで来院されます。もちろん中には実際にそういう方もいらっしゃるのですが、そうではない方も多くいらっしゃるのが実状です。
日本性科学会という性に関する治療を専門にする医師達が発行している教科書が上の写真の本、セックス・セラピー入門です。
そこには処女膜強靭症については否定的な見解が述べられており、ほとんどの場合は伸びるのでまずは挿入練習が大切と書かれています。そして、挿入困難の原因で一番多いのは、緊張などの心因と大きく関連するワギニスムス(いわゆる膣痙攣)
であると結論付けられているのです。これは、緊張によって固く閉まってしまって挿入そのものが出来ない状態の事ですから、性行為中にびっくりして抜けなくなってしまったというよく聞かれる笑い話とはレベルが違う状態です。
治療の為にはリラックスする練習が何より大切ですから、処女膜強靭症という病名に安易に飛び付かず、まずは地道にダイレーターという徐々に太くなる器具を使って挿入練習をしましょう、というのがこの教科書の結論と考えて良いでしょう。
しかしその教科書的正解だけでは対処しきれない現実もあるので、次回は実際に当院での手術症例の検討を交えて、対策をお示ししたいと思います。また次回投稿までしばらくお時間を下さい。

