連休前の本日5月2日は卵管造影の日(笑)でした。本日で4件行いました。

10日後に行われる産婦人科学会でも講演があるようですが、卵管造影は不妊検査の基本中の基本です。そして検査でありつつ治療にもなると言う妊娠希望の方にはなるべく早く受けて頂きたい、必須の検査です。

そこで改めて、造影剤別の妊娠率について最新の文献を紐解いてみました。

コクランライブラリー2020に掲載されている、油性造影剤リピオドールと水溶性造影剤イソビストの比較が、多くの文献をまとめて総括しているものなので一番的確かと思いましたので引用します。

イソビストによる検査後妊娠率は26%。

リピオドールによる検査後妊娠率は28〜39%

血管内流入(塞栓症のリスクになり得る合併症)の割合は、イソビストが1%、リピオドールが2〜9%

妊娠率はリピオドールの方が高いがイソビストの方が安全、という昔から言われて来た結論ではありますが。

しかし、もっと低いかと思っていたイソビストが案外健闘している、リピオドールの方は幅がある結論ではありますが高く見積もって4割の妊娠率は凄いな、と言うのが私の率直な感想です。そして改めて英語の面白さを感じました。HSG(hysterosalpingography)などとは言わず、tubal flushingと言っています。直訳すれば卵管通し、卵管掃除みたいな事になり、検査としてではなく治療として捉えているのが明白です。

血管内流入はたくさん検査していると必ず経験はするものですが、とにかく起こったら早く検査を中止する事で塞栓症を起こすまではならずに済む事が殆どです。

さあ、これから検査をする方々はどっちを選びますか?

ちなみに本日の4人中3人の方はイソビスト。1人はリピオドールでした。

少子化に歯止めをかけて日本が活力を取り戻す為にも、希望される方の1日も早い妊娠をお祈りしております。良い連休をお過ごしください。