薄暗い 町外れの一本道を進んでいく。
すれ違う車も、あまり無くて
車のライトが、砂利道を照らす。

時々、ザワザワと不気味に
   風が木を揺らしている。


西島「サクラさん、大丈夫かな?
何で こんな所まで……」

「小太郎が死んじゃう!」
サクラの必死な声が、
尚更、気になり、俺を不安にさせた。

🌙 ✨✨✨


西島「え…何だ?この猫達は…」


廃材置き場に着くと、
大勢の猫達の目がギラギラと光り、
まるで、侵入者を阻むように、
ぐるりと、外側を囲んでいた。

車から降りて、近づくと…

「フゥー!」 🐈 🐈 🐈

「ニャーゴー!」🐈 🐈 🐈

俺を睨みつけて、今にも飛びかかりそうだ。


西島「しっ!しっ! あっちに行け!」


「ボス!侵入者です。
  さっきの仲間かな?
   やっつけますか?」

シャーク「……待て!
   …奴にソックリだな。」



西島「サクラさん、 何処だ?」

シャーク「…仲間だ。通してやれ!」

シャークの指示に、今にも飛びかかりそうだった猫達は、一斉に後ろに下がった。


西島「あ…ありがと。
俺は、敵じゃないから、大丈夫だよ。」

そっと、猫達を刺激しないように進み、
📱のライトを照らし、サクラを探した。



真ん中あたりに、猫達が大勢固まっていた。

西島「あ…あれは…」

猫達の中に、しゃがみ込むサクラの後ろ姿が見えた。

西島「サクラさん!大丈夫?」


サクラ「西島さん?…」

西島「小太郎が死にそうって、
どういうこと?」

周りの猫に注意しながら、
サクラの側に行き、サクラが膝枕している男の顔を見て、俺はびっくりした。


西島「え! お…俺?
  誰だよ。俺にソックリ…」



瓜二つだ…
何で…しかも、サクラさんの知り合い?


サクラ「この子…小太郎なの。」

西島「え?小太郎は猫…だよ…ね。
しかも、今、日高病院にいる。
さっきまで、一緒に病院にいたろ?」


サクラ「後で話すから、助けて。
体が冷たいし、呼吸も苦しそうなの。
早く、病院に連れていかないと…」

西島「…わかった。
俺が、車に運ぶから、サクラさんは
ドアを開けて。」

サクラ「うん、お願い…」

西島「よいしょ!」

俺が俺を運んでる…
   …妙な気分だな…

体がひんやりと冷たく、
    意外と軽く感じる……


サクラ「あ!
あなたも怪我してる。一緒に行こう。」

知らせてくれた、末吉さんちの猫を抱き上げると、安心したように、
「ミャア…」と泣いて目を閉じた。

サクラ「他の猫ちゃん達は大丈夫?
怪我してるなら、一緒に行こう。」


シャーク「シャー!
俺達は、そんなにやわじゃねぇよ!
サッサと行きな!」

廃材の山のてっぺんにいた猫が大声でなくと、一斉に他の猫達が、その猫の足元に整列した。

西島「すげえな。アレがボスか。
ボス、ありがと!
サクラさん、乗せるから落ちないように抑えてて。」

サクラ「わかった。
猫ちゃん達、ありがとう。
      助かったわ。」

車に乗り込み、エンジンをかけると、
暗闇に、猫達の目がギラギラと光っていた。

西島「猫も大勢だと、怖いな…
まるで、軍隊みたいだ。」

サクラ「ここまで案内してくれて、
私が来るまで、暖めて守ってくれたの。
後で、お礼しなきゃ…」

サクラは、心配そうに、
俺そっくりの奴の頬を撫でた。


やきもちに似た感情が、俺の胸によぎる。

西島「町の大きな病院に行く?」

サクラ「それは…まずいよ。」

…小太郎は、猫だし。
体の中がどうなってるか、
       わからないし…

サクラ「あ!日高病院に向かって。」

西島「え?何で…
あそこは動物病院だ。
人間は、無理だよ。」

サクラ「本物の小太郎がいるし。
日高先生にお願いするしかないの。
  お願い…」

西島「本物って…」

じゃあ、
今 サクラさんの隣にいるのは、
    一体、何なんだ…?

西島「…わかった。
   とにかく 急ごう。」

俺は、車を発進した。



🏥

サクラ「こんばんわ!
   日高先生、いますか?」

日高「また、君か。
今度は、白い猫ちゃんか?」

西島「先生、こっちもお願いします!」

日高「は?人間は、無理だよ。」

サクラ「この子、小太郎なんです。
人間の形してるけど、中身は小太郎で…
猫で…あの、だから…」

日高「やれやれ、わかった。
話は後で。中に運んでくれ。」

西島「はい。」

サクラ「お願いします!」


🌙 ✨✨✨


日高「…話は、わかった。
   まあ、信じられないが…
一応、応急手当てはしたよ。」

サクラ「ありがとうございます。」

サクラの話は、とても不思議な話で、しかも、死んだ母さんが明日の昼には、小太郎が俺にソックリな人間から、猫に戻ると、言っていたなんて….

西島は、とても信じられなかった。
好きなサクラの話でも…


日高「でも…写らないんだ。」

西島「え?」

サクラ「写らない…?」

日高「機械に写らない…
この白い猫ちゃんは写るから、
  故障ではないんだが……」

サクラ「やっぱり…」

日高「まあ、触診で骨折はないようだから、問題はないようだが…」


トントン!

日高「はい、どうぞ!」

「あなた、来たわよ。」

日高「あ、悪いね。美那…
 うちの奥さん、外科医なんだ。
心配だから、来てもらった。」

サクラ「あ、すみません…」

西島「お世話になってます。」

美那「いいえ、こちらこそ。
この、患者さん?」

日高「ああ…
電話で言ったけど、これ見て。」

美那「…本当に何も写ってないね。」

日高「ああ…どうしたものかな。」

美那「とにかく、診てみるわ。」


美那先生は。寝ている小太郎を診察した。

美那「脈と心音、呼吸も大丈夫ね。
触診でも骨折はしていないみたいだし。
あなたの応急処置も完璧だわ。
しばらくは、このまま様子をみましょう。」

日高「ああ、ここを動かせない以上、
そうするしかないな。」


サクラ「大丈…夫ですよね?」

日高「保証はできないよ。
頭や体の中が、内出血してるかもしれないし…
それでも、ここに置いとく?
やはり、総合病院に行った方が、安心だよ。」

サクラ「…このまま、ここでお願いします。」

西島「本当にそれでいいの?
話は嘘かもしれないし、本当の人間だったら、大きな病院に移した方がいい。」

サクラ「……小太郎を信じる。」

美那「保護者さんがそう言うなら、仕方ないわね。
実は、この人、外科医から動物の方に変更した変わり種なの。全くの素人じゃないし。 何かあれば、すぐに私が来るから安心して。」

サクラ「そうなんですね。」

西島「それ、聞いて安心しました。」

美那「じゃあ、私は一度帰るわ。」

日高「ああ、ありがと。
    玄関まで、送るわ。」

サクラ 西島「よろしくお願いします。」


🌙✨✨✨✨✨✨✨


夜は、長い…

俺にソックリな奴をみつめ、
手を握っているサクラさん……

俺は、そっと
  彼女の肩を抱き寄せた…