たとえば、ベンチプレスでは、バーベルが胸につくところまで下ろすのか、半分までしか下ろさないのかという違いと言うと分かりやすいかもしれません。可動域の一部分に限定してウェイトを動かすと扱える重量が大きくなるので、こういうフォームを好んで使う人も少なくありません。
こういう方法は、本当に効率よく筋肉量を増やすことにつながっているのでしょうか?今回は、筋力トレーニングでの可動域の使い方と筋肥大の関係について検証していきましょう。
カッコいい身体づくりのために必要なことは、筋肉を増やし、体脂肪を落とすということになります。このサイトを読んでくれるみなさんは、筋肉を増やすべく日々トレーニングに励んでいる方が多いと思います。
安全かつ効果的にトレーニングをするためには、適切なフォームを身につけることが不可欠ですが、筋肉を増やすためのフォームを考えるときには、可動域の使い方が重要になります。
たとえば、ベンチプレスでは、バーベルが胸につくところまで下ろすのか、半分までしか下ろさないのかという違いと言うと分かりやすいかもしれません。可動域の一部分に限定してウェイトを動かすと扱える重量が大きくなるので、こういうフォームを好んで使う人も少なくありません。
こういう方法は、本当に効率よく筋肉量を増やすことにつながっているのでしょうか?今回は、筋力トレーニングでの可動域の使い方と筋肥大の関係について検証していきましょう。
今まで可動域を大きく使ってトレーニングしていたのを、可動域の一部に限定して使用重量を大きくすれば、筋肉に掛かる負荷も増えそうに思えます。しかし、それで必ずしも筋肉に掛かる負荷が増えるわけではありません。
スクワット中に大腿四頭筋に掛かる負荷を例として説明していきましょう。
上のイラストの左側は可動域の後半部分に限定したクオータースクワット、右はパラレルスクワットを真横から見た様子を表しています。こうやって真横から見て考える方法では、必ずしも各筋肉に掛かる負荷の大きさを正確に検証できるわけではないのですが、これを掘り下げるには、さらに複数の記事が必要になってしまいます。今回のトピックには必要十分なので、このまま進めます。
次の式で、スクワット中に大腿四頭筋に掛かる負荷を大まかに求めることができます。
使用重量 × 重心線からヒザ関節までの距離
これを上のイラストに当てはめると、クオータースクワットでパラレルスクワットの約2倍の重量を使ったとしても、大腿四頭筋には同じ負荷が掛かることになります。たとえば、100kgでパラレルスクワットを行うのと、200kgでクオータースクワットを行うのでは、これだけ扱う重量に差があっても大腿四頭筋に掛かる負荷は同じ計算になります。
実際には、ここまで単純に計算できるものではありませんが、扱う重量が必ずしも筋肉に掛かる負荷を表すとは限らないことは分かると思います。
筋肉に大きな負荷を掛けるために、可動域の一部に限定して高重量を扱うことがあります。しかし、扱う重量が軽くても可動域を大きく使うトレーニングの方が、筋肥大の効果が高いことが研究で示されています。
また、可動域を大きく使うトレーニングでは重量が軽くて済むため、怪我のリスクが低いとも考えられます。可動域を一部に限定するトレーニングが有効な場面もあるものの、筋肥大が目的であれば、可動域を目一杯使う方が良さそうです。
同じトレーニング種目であっても、どれだけ可動域をとれるのかは体格や骨格に影響されます。個人差に合わせてトレーニング種目選びやフォームを変える必要が出てきそうです。
ぜひ、可動域を大きく使った筋力トレーニングを心掛けましょう。