blog no.411

 

 

タイトル : 男はつらいよ : 寅次郎恋歌

 

観た日 : 220122 土

放映日 : 211127 土(BS7)


その他の情報 : 1971, カラー, 監督・原作: 山田洋次, 脚本: 山田洋次・朝間義隆, 出演: 渥美清, 池内淳子, 倍賞千恵子, 前田吟, 森川信, 志村喬, 笠智衆 他, 上映時分114

 

評価 : ★★☆☆

 

シリーズ第8作。マドンナは池内淳子。



いつものように、ロケ地を見てみよう。

・高知(土佐)のドサ周りの小劇団の中に、寅はいた。細かい場所は不明であるが、エンディングでは、またこの小劇団と偶然出会いトラックの荷台に乗って去っていく、という具合に「韻」を踏んでいる。(トラックが去っていく先には遠く微かに富士山が見えるので、静岡・山梨付近でラストシーンを撮ったと思われる)

・岡山(備中高梁)は、博(前田)の故郷だが、博の母が亡くなって、さくら(倍賞)と共に訪れる。博の実家は国鉄伯備線沿いにあるという設定で、何度かSLが黒煙を吐いて豪快に走る見どころがある。

しかし、このところの「男はつらいよ」は松竹の思惑もあって、年に2本も撮る過密スケジュールとなっているせいか、あまりノビノビと全国をまわらない傾向がある。

 

さて、ストーリーだが、

前記の通り、博の母が身罷り、実家の備中高梁で葬儀が営まれる。久々の志村喬の登場(博の父、という設定)である。やはり一人名優がゲストで加わると、話が締まる。寅は「おいちゃん」(前作のクレジットでは「おじちゃん」となっていたが、本作では無事「おいちゃん」に戻っていた)から電話で、博の母の訃報を聞き、単身備中高梁へやってきていつもの如く周りをさんざ掻きまわしたあと、しばらく高梁に居座り博の父とも「仲良し」になるわけだが、元来学者であった「父」(志村)から色々な会話をし、その蘊蓄から少なからざる影響を受ける。例えば「一家団欒こそ真の幸福である」といった言葉に感化されて、感動した寅は柴又に帰ってくる。帰ってみれば、とらやの近所に喫茶店が出来ていて、そこの店主・寛子(池内)が子持ちの未亡人かつ美人で、寅はひとたまりもなく恋してしまう。そんなある日、博の父がとらやを訪ねて来るが、この部分は志村の演技もあって刮目する場面も多いのだが、構成としては如何なものか。何故上京してきたのか、どのようにして・どこへ引き上げたのかetcが一切語られていないのである。さて、喫茶店の寛子の一人息子は内気な性格な上、転校したばかりで友達も無く孤独であった。それを見た寅は、いつもの通りしゃしゃり出て、息子を慰め、勇気づけ、友達も作ってやることに奔走。寛子は大いに恐縮し・感謝するが、寅次郎は風来坊の自分には過ぎた恋と諦めるが、おいちゃん(森川)との大喧嘩もあって、再び旅に出るのだった。

 

これまで、志村喬の職業は「学者」とだけ表現されていたが、本作でその専門が明らかになる。「インド古代哲学」である。

 

ところで、倍賞千恵子がいつまでも若い。数えてみたら、本作公開時に30歳であった(ということは現在は80歳でお元気)。年齢続きで披瀝しておくと、池内淳子はこの時38歳(2010年に76歳で没している)である。

 

おいちゃん役の森川信は、この作品の公開後まもなく身罷ってしまうのだが、いつものように、寅さんに「不幸な一生でした」と言われるシーンがある。森川も肝臓がすでにかなり悪かったのではないかと類推すると、適役の森川を失った「山田組」はさぞや手痛いことだったろう。 





さて、今回のこの鑑賞で、2022年の私の映画鑑賞は10本目となりました。


最後まで読んでくださって、誠にありがとうございました。


今後ともよろしくお願いします。