blog no.284  20200709 木

 

 

タイトル : とんかつ大将

 

 

観た日 : 200701 水

 

放映日 : 130117(BSP)


その他の情報 : 1952, モノクロ, 監督・脚本: 川島雄三, 出演: 佐野周二, 津島恵子, 角梨枝子, 三井弘次, 美山悦子 他 95

 

評価 : ★★☆☆

 

 

 

 

 

 

東京の下町「亀の子長屋」に住む青年医師荒木勇作(佐野)は、トンカツが好きなことから、皆から「とんかつ大将」と呼ばれ親しまれている。この「下町のヒーロー」がこの物語の主人公である。彼は艶歌師町田吟月(ぎんげつ)(三井)と兄弟のようにして同居して暮らしている。


物語は、その吟月が飲み屋の女将(角梨)に惚れていたり、その弟が不良で喧嘩した傷を勇作が手当てして助けたり、勇作が昔の恋人と偶然再会したり、等々、満艦飾の感すらあるエピソードを丁寧に積み重ねて成り立っている作品である。


その中でも最も大きなエピソードは、長屋の隣の佐田医院の病院拡張計画である。映画の冒頭で出会う佐田医院の女医真弓(津島)と勇作の絡みや、悪徳弁護士の勧めで亀の子長屋を買収・取壊しキャバレーにしてしまう事に対する反対運動の旗手を勇作が務めたりするのである。最後はハッピーエンドだ。そしてラストは突然やってくる。上記の出来事がすべて円満に片付いた頃、ちょうど大阪の父(資産家)が脳溢血で倒れたことを知る。こうして、勇作はなじみ深い長屋を去って行くのだった。「帰ってくるよ」と幾度もの言葉に、現実味を帯びない雰囲気を漂わせながら・・・。

 

因みに、トンカツが好きな「とんかつ大将」は、作中で一度も「トンカツ」を食べない。

 

全体的に、矛盾や疑問が無いことはない。しかし、昭和27年といえば、占領軍が撤収したり、サンフランシスコ講和条約が締結されたり、正に激動の時期である。そんな環境の中で作られた映画としては上出来であると評価したい。各役者がそれぞれ強い個性を持ち、背景となる街の風景の映像は記録映画としても充分に耐えうるものである。

 

なお、フィルム散逸により、冒頭のクレジット部分が欠損。現在のフィルムは無音の手書き静止画(↓)によるものとなっている。





さて、今回の、

この鑑賞で、2020年の私の映画鑑賞は40本目(うち劇場1本)となりました。
 

 


最後まで読んでくださって、誠にありがとうございました。
今後ともよろしくお願いします。