blog no.142 181124 月



読んだ日にち : 20181223 日


書名 : 「明治礼賛」の正体

著者 : 斎藤貴男著

出版事項 : 東京,岩波書店, 2018.9.

対照事項 : 71p. 22cm.   (岩波ブックレット, 986)

ISBN:978002709864


評価 : ★☆☆☆




まず、読了して、気分が悪くなった。


著者はジャーナリストを名乗り、多くの著作がある。(以下、参考)


斎藤貴男
略歴:〈さいとうたかお〉1958年生まれ。早稲田大学商学部卒。英国バーミンガム大学修士(国際学MA)。ジャーナリスト。「「東京電力」研究 排除の系譜」でいける本大賞を受賞。ほかの著書に「ルポ改憲潮流」など。



一言で言おう。


「まとまりがない」


のである。


一生懸命著者に寄り添って読んだが、結局、本書が言いたいのは、最後の最終頁の6行だけのことなのだ。他の部分はさして読むに値しない。この6行の「説明」にすぎないからだ。


件の6行を部分転載してみよう。



一人の日本人として…明治の先人たちがあくまで愛おしい。…私たちの国は、植民地にはされずに済んだ代わりに、かけがえのないものを失い、あまりに多くの人々を傷つけ過ぎている。…現代の私たちがまず為すべきは、「明治」を取り戻すことなどでは断じてない。“明治一五〇年”の間に溜まりに溜まった負の遺産の清算なのである。



以上が本書の言いたいことである。


細部を見れば、安倍首相一族批判・アジアに対しての侵略蛮行・福沢諭吉批判を強く主張している。


また、最も違和感があるのが、司馬遼太郎批判である。曰く「司馬遼太郎という作家はあまりに罪作りだった。(中略)明治幻想を一般に広め、定着させた(後略)」ここで、著者は司馬を評論家とは言っていない。「作家」である。ならば、何を書いても良いはずで、ここに史観を持ち込むのはあまりにも乱暴である。


良書出版で知られる岩波書店のラインナップに本書が肩を並べることに、大きな疑問を覚える。


公共図書館にもあるし、安価(580円)でもある、興味のある方は一読されたい。


《目次》
第1章国策としての「明治礼賛」
第2章安倍政権が目指す二一世紀版「富国強兵・殖産興業」

第3章虚構の「明治礼賛」とこの国のゆくえ




今回も最後まで読んでくださって、誠にありがとうございました。お礼申し上げます。誤謬・ご意見などありましたら、なんなりとお申し付け下さい。