【九月場所】土俵祭(4)~祝詞奏上~ | ホントはね。

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本音を、ココでぶちまける。
掻き消せぬ敬意と確かな足跡。

大相撲の行司さんが好き。
誰が何と言おうと、四十代 伊之助親方が大好きじゃ。

場内片隅から見つめた土俵の様子・宿るキモチを
そのままココへ綴ります。

つづきまして、『祭主 祝詞奏上』

 

 

 

 

 

キャンキャン親方's ターンです。

 

 

 

 

 

突然ですが、

33代庄之助親方の著書『力士の世界』 に、

こういった記述があります。

 

 

 

 

紙を両手に持って読み上げる祝詞と違って

方屋開口は (中略) 何も見ないで

いわなくてはいけません。

 

 

 

 

 

【参考 ~土俵祭 式次第~】

①清祓いの儀

②祭主 祝詞奏上  ←

③祭幣 並びに献酒

④方屋開口  ←

⑤鎮め物

⑥直会

⑦触れ太鼓 土俵三周

 

 

 

②、④どちらも、

祭主である立行司が、何かを読み上げる

というものですな。

 

 

 

 

 

たしかに、

上: 祝詞奏上。 紙、持ってます。

下: 方屋開口。 真正面を見据えてます。

 

 

 

 

これを初めて読んだ時、

じゃぁ、何も見ちゃいけないっていう

方屋開口の方が大変なんだなぁ…

なんて、安易に捉えておりました。

 

 

 

 

ですが!!

実際のところ、方屋開口は

ワレでも、何度も目に耳にしていくうちに

いつの間にか、覚えちゃってました。

そのくらいの長さ。

 

 

 

 

文体も、例えば

「前後左右を東西南北、これを方という」

みたいな、

聴いたらふつうに意味は分かります。

 

 

 

 

 

一方の祝詞ですが、

掛巻くも 畏きこの斎庭に

(かけまくも かしこき このゆにわに…)

 

 

 

 

もうこの時点で ??? であるが…

 

 

 

 

ンンンンーーー……

紙を見られるのであれば、まぁまぁ。 

 

 

 

 

…みたいなね?? うん。

 

 

 

 

 

が。

 

 

 

 

 

そんな易しいもんであるワケがない。

 

 

 

 

 

行司さんの勉強をしている中で回り逢った

また別の本にも、同じように

祝詞、方屋開口の双方の全文が載っていました。

 

 

 

 

 

しかし、

祝詞の方が、

全くもって 読めたもんじゃない。

 

 

 

 

 

そう。

庄之助親方の著書では、読みやすいように

親切に、振り仮名も、送り仮名もある

“書き下し文” 的な文体で書かれていた祝詞。

 

 

 

 

本来は、 宣命書 と呼ばれる表記が

為されているとのこと。

“祝詞” ですからね…。

 

 

 

 

 

宣命書(せんみょうがき) の特長としては、

「てにをは」も漢字。

 

 

 

 

 

つまり、祝詞は

全ての文字が漢字!!

 

 

 

 

 

祝詞の一部を切り取ってみます。

まず、庄之助親方の著書より。

 

 

 

 

のみのすくねの みことたちを おぎまつり ませまつりて

野見宿禰尊等を招奉り坐奉りて

 

かしこみ かしこみも もうさく

畏み畏みも白さく

 

ちはやふる かみよの むかしより

千早ふる神代の昔より

 

なか いまはさらに もうさず

今は更に白さず

 

 

 

 

 

 

……ねー。 (゜ー゜;)

 

 

 

 

 

すでに、読めたもんじゃありませんねー。

 

 

 

 

 

で、これが宣命書の表記になると…

 

 

 

 

 

 

野見宿禰命達 三柱乎

招伎 奉利 坐世 奉利氐

恐美 恐美 母白左久

千早振留 神代乃 昔与利

中今波 更爾 母白左須

 

 

 

 

 

とな。

細かな言い回しや、充てられる漢字には

別文献から引用のため、若干の相違があります。

 

 

 

 

 

呪文!

キャンキャン、これを読んでおられるのか!?

 

 

 

 

 

紙を持ってるからといって、

こんな、ふつうの文体でさえ

滞りなく読み上げるのは困難…

(先ほどのホザきを、あっさり撤回)

 

 

 

 

 

行司さん、すげー…。

 

 

 

 

 

祝詞奏上中の伊之助さん、

写真撮ってたはず… と思って

 

 

 

 

見返してみた。

 

 

 

 

この時は、手元を写そうと思ってなかったし

偶然撮ってあった写真を、拡大しただけなので

不鮮明ですが

 

 

 

 

なんか、とりあえず筆書きで、

すんごい ビッシリ 書いてあって、

 

 

 

 

平仮名らしき影

見当たらない…。

 

 

 

実際は分からないです!! 汗

 

 

 

 

 

 

こういうのを考えてみた上で、

改めて、土俵祭を見てみると

テンションがりまくる。(?)

カッコ良すぎて。

 

 

 

 

史実、変遷、そして内に秘めるもの。

共通で認識しておられる基礎から

各人において、大切に抱かれている教えまで。

 

 

 

 

時折、ふっと香って思いを馳せる。

 

 

 

 

これほどの歴史を持つ大相撲に

携わっているというのが、まず凄いコトなのに、

その厳しさ、大変さなどをチラつかせたり

見せびらかしたりはせず、

粛々と、日々の務めをこなされていくお姿は

めちゃくちゃカッコ良いと感じます。

 

 

 

 

 

改めて、祝詞奏上。 一同起立。

 

 

 

 

 

相撲の成り立ちや、祝詞の意味、

様々な要素一つ一つの重要性

きちんと心得て、

行司さんは、その道を何十年と

歩まれているんだろうなぁ…。

 

 

 

 

なんて思える所が、

行司さんが好きな理由のひとつです。

 

 

 

 

勿論、行司さんお一人ずつの

全てを存じ上げている訳ではないから

公のお姿 しか分からないんですけど!!

 

 

 

 

でも、要所要所に行司さんがいて、

非常に美しい身のこなし… そして、

丁寧に、その日その日を積み上げていく

お姿を見せてくれる。

 

 

 

 

とても素敵だと思っています。

 

 

 

 

土俵祭だって、なにも

本場所に限ったことじゃない。

部屋の土俵祭だって、毎場所行われるわけです。

 

 

 

 

部屋の土俵祭は、

祭員さんたちは、部屋、もしくは一門の行司さん。

立行司じゃなくたって、

土俵祭を執り行うこと、できなきゃいけない。

(式次第は異なってくるかと思いますが。)

 

 

 

 

 

だから、

伝統や所作、心技体の重要性を

丁寧に考えようとするお姿が、

力士のどなたかから感じられた時には…

 

 

 

 

きっと、ワレも

その力士さんの大ファンになるんでないかなぁ。

魁勝さんの一礼とか、すごく好きよ。

 

 

 

 

 

 

ってな具合で!

以上、今回は 『祝詞奏上』 でした。