さくらは英樹の病室にいた。英樹は命に別状はなかったが神経をやられている可能性があるとの事で後遺症が出るか出ないかという現時点の診断。
竜二を思う気持ちがまっすぐ過ぎて後先を考えていなかったのか。
竜二さえ生き返ってくれれば後はどうでもよいと思っていた。その為ならその他の犠牲は構わないと思っていた。誰かが死のうとも。誰かではない、英樹が死んだら竜二が生き返ると信じてきた。
ここで初めて目が覚めてしまった。誰かの犠牲の上の生命は許されるのか。最近さくはらその事でずっと悩んでいた。
しかし、今日、路線が変わってしまった。
金が入ってきたのに竜二は元の姿には戻らないかもしれないと告げられた。しかも、同じ日に英樹が刺されて竜二と同じ病院に運ばれてきた。
夢ではないか。
逃げたい。
さくらの心は弱々しく負けていた。
どちらかを選ばなければならない。
考え方によって答えは変わる。さくらは未来ではなく過去の思い出を比較した。答えは出た。
英樹には遺産を渡し、子供は二人自分が連れてまた誰も知らない土地で暮らそう。眠る竜二の隣で。
椅子に座るさくらの肘が英樹の枕元の水の入ったペットボトルに当たり英樹の頭に落ちてしまった。
その時、英樹の目が開いた。