行き先は決まっているのに
行き方が分からないという一番最悪なミスを犯してしまったユーコ
暗い一通りのない路地、1人ボーッと立ちつくし考えることしかできなかった
だけど考えても考えても改善案はまったくでない。
ユーコは深いため息をついた。
最近は溜息が日課のようになっている
それほど私は進路というものに悩まされているのだろうか
この時ユーコの頭の中は真っ白だった
自分の馬鹿らしさと、少し居残りをさせられたくらいで
人間界の道への願望は大きく深まる
それは魔法を使うのが苦手な自分の甘えなのかもしれない
周りと差をつけられる事を恐怖に、
人間界へと逃げようとしてるのかもしれない
急に自分のみじめさに目がしらが熱くなった。
「ははっ・・あたしやっぱ馬鹿だな~・・・」
1人で空を向き笑った
だけどやっぱりいつもみたいな笑顔は出来なくて
この時初めて知った
自分は1人だと何もできないことを。
人間界に行くって決心したついさっきもそうだった。
人に相談しないと何もできないし、
相談していい返事が返ってきたときだけ調子にのって
今のようになる。
実験の居残りだってそう、
勉強や運動熱心なサヤカの事だから家に帰ったら
ランニングなんていつもしてる
だけど、最近はあたしの居残りに無理矢理付き合わせてるんだ
さっきサヤカが”もう6時か”って呟いた時も
呆れて笑ってたけど
本当は”もう暗いから走れないな”なんて思ってたのかもしれない
実験も勉強もテストも、何もかもうまくいかない
1人じゃなにも成し遂げられない
だけど、怖いことや面倒なことからは逃げて
自分を守ろうとしてる。
誰か仲間を犠牲にして。
本当にあたしは最低な魔法使いだよ・・
誰かに何か言い付ける資格も
お願いする資格も
何もない。
みんなあたしがやればいい
今までのつぐないはあたしがすればいい
人間界に行く夢なんて諦める
やっぱりあたしにはここ魔法使いで一生
見習い魔法使いをやってくしかないんだ。
勉強なんてしたっていくらも魔法が使えるようにならないし
友達も最近は今の落ちつきのないあたしに
呆れてるだろう
「もうどうしていいか分からないよ・・」
小麦色の頬に透明な腺がつーっと流れる
暗くて何が流れたかも分かんないけど
その腺が口元にあたった時
すぐに何かわかった。
しょっぱくて、塩辛くて
まるで先生が言っていた海の様な味。
海は人間界にしかないからあたしはどんな場所か知らないけど・・
前に先生が話していた。
人間界の海の事
オーシャンブルーの冷たい水がどこまでもどこまでも続いてるんだって
そしてしょっぱくて、塩みたいな、まるで塩水の中にいるみたい。
先生が楽しそうに話してたのを覚えてる
それ以来海に以上に興味をもったんだ。
他にも聞いたことがある
人間界では恋愛だって出来るんだ
ここ魔法界でももちろん出来るけど
人間界はこんな田舎みたいな魔法界よりも
ずっと都会でロマンチックな場所でプロポーズしたり
真っ赤なバラの花束をプレゼントしたり
キラキラ光るダイヤモンドの指輪を交換したりするらしい。
何しろ純白の綺麗なウエディングドレスを着て
結婚を祝える。
あたしにとっては凄く羨ましい
今は好きな人も居ないし、
そりゃあ好きになってみたりはしたいけど
魔法使いはどうもそういうヤツはこの歳では少ないんだよね・・
あーあ、
海が見たい 人を愛したい。
魔法使い何かよりも人に生まれて
人を愛したかったなぁ。
そしたら人間界にも住めるのに・・
そんな事を涙を流しながら考えていた
だけど涙は流れても
何故かうきうきして人間界の事を考えてしまう
どんな場所なんだろう。 海を見たいな 人を愛してみたい・・
その時ユーコはある事に気付いた
自分は魔法界の勉強なんかよりも
先生の授業が脱線した時に聞く人間界の話のほうが何よりも楽しみな事。
興味深いこと。
何よりも人間界を愛している事。
「っ・・・あたし、やっぱ人間界へ行く!」
改めて決心し直したユーコだった。
1人でなにも出来ないあたしだったら
仲間を増やせばいい
仲間に助けてもらえばいい
もう1人で何もできないなんて弱音吐かない
今はまだちっちゃな豆みたいなあたしだから
いつかははじけるぽっぷこーんになるまで、
栄養補給ってことで、仲間に支えてもらう
人間界への道も、一人前の魔法使いまでの道のりも
まだまだ遠いけど・・・
みんながいるからあたしがいる。
ユーコは元来た道を走り戻る
その顔にはもう迷いはなかった。
いつのまにか涙も乾き
いつものユーコの笑顔が生まれていたのだった。
つづく