私はかねてから、司法論文公法系第1問・予備論文憲法の問題文で、相手方当事者からの反論を、“簡潔に述べ”る(司法H2526設問2・H27設問1(2)、予備H26設問2)・“指摘”する(予備H27設問2)等ではなく、司法H28設問2のように“想定”することのみが求められている場合には、答案に明示的に書く必要はないと考えています。

 

まず、“想定される被告側の反論を簡潔に述べ”ることを求め、反論を“述べ”ることと“想定”することを区別している予備H26設問2が、私のこのような考えを裏づけてくれました。

 

そして極めつけが、司法H28論文の採点実感(公法系)の「5 検察官の反論又は私見」です。

下に、“・”4つのうち最初の3つをコピペします(下線は私が付けました)。

“・本年は,昨年と異なり,各設問の配点を明示しなかったが,設問1では付添人の主張を,設問2ではあなた自身の見解を,それぞれ問い,検察官の反論については,あなた自身の見解を述べる中で,これを「想定」すればよいこととした。したがって,検察官の反論については,仮に明示して論じるにしても簡にして要を得た記述にとどめ,あなた自身の見解が充実したものになることを期待したものである。この点では,本問は,従来の出題傾向と何ら変わらない。

・ ただ,その際,検察官の反論を明示する以上は,判断枠組みを定立するだけで終わるのでは不十分であるし,「目的は不可欠で,手段は最小限である」などと結論を記載するだけでも足りず,冗長にならないように留意しつつ,検察官としてその結論につながる積極的・直接的・根本的な理由(判断の骨組みとなる部分)まで端的に示す必要がある。他方,結論的に付添人の主張と同一の結論となるにしても,なぜ検察官の反論を採用できず,付添人の主張と同一の結論に至るのか について説得的に論じなければ,検察官の反論を踏まえたものとはならないことに留意して欲しかった。

・ しかしながら,例年と同様,検察官の主張を詳細に述べる余り,あなた自身の見解が簡単なものにとどまってしまった答案や,あなた自身の見解が検察官の反論に対する再反論に終始してしまい,そのため,あなた自身の見解について,どのような判断枠組みの下,どのような事実関係に着目して,どのような結論を導いたのかが不明確な答案が相当数あった。また,検察官の反論及びあなた自身の見解に言及されているものの,あなた自身の見解が検察官の反論を踏まえたものになっておらず,付添人の主張を繰り返すだけになってしまっている答案も見られた。”

 

これによると、“反論を明示”する必要は原則なく、“反論を明示”するとかえって得点効率が大幅に低下する…と明らかに読み取れるよね?

DA・YO・NE?( ´_ゝ`)σ

 

しか~し!

その舌の根も乾かぬ約1年後の司法H29論文の採点実感(公法系)の「1 総論」の“・”5つ目のラストでは、同様に反論の“想定”のみが求められている問題文なのに、“設問2では,国の反論なのか私見なのか判別しにくいものが見られた。”などと書いてやがる…そんなんで受験生に“論理”とか“一貫性”とか“整合性”とか求められるのかてめえら!!(゚Д゚#)

 

これが(a)上記司法H28論文の採点実感(公法系)を修正するものなら、

①法務省等が受験生に対して司法H28論文の採点実感(公法系)という公的見解を表示し、

②受験生がその表示を信頼して行動したところ、

③表示に反する司法H29論文の採点により受験生が受験継続費用や逸失利益等の経済的不利益を受けたなら、

④受験生が信頼に基づき行動したことにつき帰責事由もない

だろうから、行政上の信義則違反になりうるのでは?

 

他方、(b)上記司法H28論文の採点実感(公法系)のように反論を明示しないのが基本という路線が維持されているなら、反論を明示しなくても“反論なのか私見なのか判別しにくいもの”にならないような書き方の具体例を出すのが説明責任ってもんじゃねーの?

答案“例”のほんの一部だから弊害(なんて元からないと私は確信しているけど、奴らがあると思い込んでいるもの)ないし、他の系統では“準”答案とすらいえるような詳細な正答内容も公表してくれてるよ?

 

そうすると、これはH23と同様、“補足”を出すべきところなのでは?と思ってやまないのですが、今のところ出しやがらないので、受験生側としては対策を考えなければならない。

…(新)司法試験になってから、出題者側は、何度こうやって受験生の足を引っ張ってきた!?自覚はあるか!!??

ねえよな…受験生の出来の悪さに毎年クレームつけてきやがるくらいだからなあ!!!どう考えても筋違いだろ!!!!

「私どもの不手際で、受験生の皆様に余計な対策をするお時間をとらせてしまったがために、“基礎”的な部分すら覚束ない答案が続出する事態を招いてしまいました。受験生の皆様をはじめ、関係者の皆様に、適正な合否判定ができなかったことを謹んでお詫び申し上げます。」くらいは書いてくれんとなああああああ!!!!!

 

…なんか最後の方は「ジョジョ」風に「燃え尽きるほどヒート」(by第1部ジョナサン:上記口調は第2部エシディシや第3部ポルナレフ風?)してしまいましたが、受験生側から現在の戦況を冷静に捉えると、リスクヘッジとして、反論を“できる限り”明示した方がよい(≠しなければ不合格)ことは間違いありません。

 

というわけで、年末年始の補習課題を出しますよ~やってられんね!

もしやる気があったらでいいから、その3-2に載せた答案例のうち、検察官側に有利な論述だと自分で考えた部分に、何らかの“しるし”(ex.下線、「」、マーク)を付けてみてくだせ~い。

 

まあでもこんなんせいぜい10点/100点にすぎない(cf.司法H27論文設問1(2))から、クソ出題者・採点者側のムチャ振りに付き合わず、年末年始のんびりするとか、他の対策をする方がいいかもよ~いずれにせよ、良いお年を!(^O^)/