VENUS STRAWBERRYさんから、下記のご質問をいただきました。
「4A講座は法律実務科目の回数は基本7法と比べると非常に少ない、かつ基礎講座では触れずに論文過去問講座という位置づけでいきなり実践講座、と感じるのですが、その程度の回数で済むという理解でよろしいでしょうか?
法律実務科目は独立に考えるのではなく、民法・民訴法・刑法・刑訴法の理解の延長線上にあるということでしょうか?
受講を迷っているので、御教示いただけたら嬉しいです。」
4Aによる実務基礎対策は現在、『予備試験 4A論文過去問分析講義』の実務基礎科目部分で提供しています。
このブログでは、その前身の『4A超速実務基礎講義』のコンセプトもちゃんと説明していなかった(せいぜい記事「『4A超速実務基礎講義』は」くらい)ので、記事にして回答しようと思いました。
まず、『予備試験 4A論文過去問分析講義』の実務基礎科目部分は、下記の2つの要素で構成されています。
○要件事実論講義:3回
→法律実務基礎科目(民事)の必修教材『新問題研究 要件事実』(法曹会:以下「新問研」という)の全13問を4Aで解きながら、要件事実論の“使い方”を体得していただくための講義です。
○サンプル問題、平成23~28年度の論文過去問講義(各1回×7)
※平成29年度も、完成したら提供する予定。
→各問について、4Aに基づく問題文の読み方から答案作成まで、私が等身大の受験生の視点に立って実演する講義です。
これはたぶん、他校の法律実務基礎科目対策(論文過去問も含めて)と比べても少ない回数だろうと思うのですが、4Aに基づいて民法・民訴法、刑法・刑訴法の論文式問題を解いていれば、それがそのまま法律実務基礎科目の民事、刑事の基礎となるので、「非常に少ない」「回数で済む」のです。
例えば、新問研のうち、「第3問 売買代金支払請求(履行期限の抗弁)」以外の12問で問われる要件事実論(どころか、旧問研ラストに載っていた債権譲渡についての要件事実論等も)は全て、既に4A論文解法パターン講義の民法・民訴法で扱っています。4A≒要件事実論ですし、4A論文解法パターン講義は論文本試験問題の解法パターンを網羅するための講義なので、必然的にそうなります(履行期限の抗弁のパターンは、民法・民訴法での出題可能性が無視できるほど低いため、民法・民訴法では扱っていません)。
また、法律実務基礎科目(刑事)では、犯人性(ある人がある事件の犯人かどうか)、共謀、故意といった事実の存否を認定するプロセスが毎年問われるのですが、これらも既に4A論文解法パターン講義の刑法・刑訴法で扱っています。
さらに、ここ2~3年の法律実務基礎科目の論文本試験問題では、民法・民訴法、刑法・刑訴法で出題されてもおかしくないような出題が増えています。
そのため、4Aによる実務基礎対策としては、
①新問研を使った要件事実論講義で要件事実論特有の“お作法”を確認した上で、法律実務基礎科目(民事)の論文過去問を解く中で、法曹倫理の問題の解き方(≒弁護士職務基本規程の条文の探し方)等の些末な点を学びつつ、4A論文解法パターン講義の民法や民訴法で学んだことを使いこなせるように訓練する
②法律実務基礎科目(刑事)は、いきなり論文過去問を解く中で、4A論文解法パターン講義の刑法や刑訴法で学んだことを使いこなせるように訓練する
だけで、必要充分なのです。
以上から、VENUS STRAWBERRYさんのご質問にあったとおり、「法律実務科目は独立に考えるのではなく、民法・民訴法・刑法・刑訴法の理解の延長線上にあるということ」になります。
(もっというと、法律実務基礎科目だけでなく、あらゆる科目、さらには司法試験系の科目を超えたあらゆる法的問題を、「独立に考えるのではなく…延長線上」の同じような問題にしてしまうのが4Aなのですが、それが本当に実感できるのは修習~実務に入ってからでしょう。)
あと、予備論文H26・27で法律実務基礎科目が2年連続A評価だった塩見先生が、ご自身のブログ「我が道を生く」の
・記事「予備試験 実務基礎科目」
・記事「TAC 4A 中村充」の③
に、前身の「『4A超速実務基礎講義』の感想を書いてくれているので、参考になれば…