“なす”さんから、このような質問をいただきました。
「司法試験の選択科目をどれにしようかを迷っております。
具体的には経済法と倒産法、どちらにすればいいのか決め手にか欠けております。
倒産法のプラス要素としては
・興味がある
・街弁志望なので絶対に役に立つ
マイナス要素としては
・とにかく量が多いらしく、他の科目と両立できるか不安
・民訴にやや苦手意識がある
経済法のプラス要素としては、
・倒産法と比べると圧倒的に量が少ない
・授業だけで司法試験に対応できると言われるくらいロー授業の質が高いと評判。学内履修者も多く先輩の合格実績も高い。
マイナス要素としては
・ほとんど興味が持てない。
・条文が少ない分、条文選択当てはめ等センスの有無が問われる(?)←伝聞ゆえ真偽は不明。
どちらも入門書を読んでみたのですが理解のしやすさは同じぐらいだと感じました。
興味のある方を取るべきか試験的に有利な方を取るべきか、という点に集約されると思うのですが、なにか考え方の指針をいただけると幸いです」
正直私は、選択科目については、労働法・倒産法等、実務・修習でいくつかの事件を担当するのに必要なごくごく一部をつまみ食いしたくらいで、これから空き時間を見つけて、少しずつ勉強していこうという状態です。
というわけで、私も“なす”さんと同様の状態にあるといえると思うので、私ならどうするか?という観点から考えていきます。
そうすると、常々言っているように、まず、
①
倒産法・経済法の知識が全くない状態でも、倒産法・経済法のH26の論文過去問(H27は現時点ではまだ②の資料が出そろっていないので…)1~2問について、本試験と同様に試験時間の4分の1~3分の1を目安に、問題文と司法試験用六法だけから答案構成を(しようとできる限り努力)することから始めます。
4Aを使えば初見法令でもある程度の処理ができることは、実務で初見法令がからむ事件を処理した経験から確信しているからです。
そして、
②
その問題の再現答案(最低限、合格ラインギリギリ・上位1通ずつ)→採点実感→出題趣旨を見ていきます。
あと、倒産法と経済法で点数分布傾向に有意な差があるかもしれないので、法務省HPで公表されている全年度の点数分布データをエクセル等でグラフ化します。
ここまでが、「敵を知る」段階という感じですね。
で、
③
倒産法と経済法の教材や講座を、ネット検索、予備校・大学の書籍部や大きめの書店で、できる限り「全て」見てみる。“なす”さんは、私と異なりロー生なので、ローの倒産法・経済法の講義の教材・定期試験過去問や先輩のノートも見てみたいところですよね。
自分の武器・防具となりうる戦力を吟味し、「己を知る」段階という感じでしょうか。
最後に、
④
上記①~③の情報を踏まえて、自分の興味等も含め「直感的に」決断します。
あと、私の狭い実務経験に照らすと、実務で役立つかといったことは、あまり重視しない方がいいのではないかと思います。
私は、全く勉強したことがなくても、労働法・倒産法等の初見法令がからむ事件を(もちろん必要なことを調べて勉強しながらですが)普通に処理することはできたと自負しているからです。
また、私は、選択科目以外の法律科目については、司法試験で求められる知識・能力と実務で求められる知識・能力にはかなり隔たりがあると感じるので、選択科目もそうなのではないか…と思うからです。
ですが、これはあくまで、旧司合格者で選択科目を勉強せずに弁護士になった私の、主観的な経験による印象論にすぎないので、選択科目を勉強して新司に合格された弁護士の先生や、元からその選択科目の分野を極めるために弁護士になったんだ!といった先生方は、異なるご意見をお持ちだろうとも思います。