来年から、“司法試験”(≠予備試験)の短答式試験が憲民刑のみとなり、下4法の出題は論文式試験のみとなることが、既に確定している。

そのため、最近、

「司法試験本試験の短答対策を考えた場合,短答に出ていたような問題が論文で問われる可能性があるから解くべきという意見,論文しかない以上短答過去問は不要という意見などがあるようですが,下4法の短答についてはどのように扱えばいいのでしょうか。」

「司法試験受験生としては、下4科目の予備試験択一問題も知識確認の意味をこめて目を通したほうがいいのでしょうか?
予備択一で問われる知識は論文でも出題されるかも知れないからです。」

といった質問・相談を、立て続けにいただいた。


確かに、特に4Aの使い手なら、論文・短答式問題とも、条文単位で同じように解くことになるはずなので、下4法の短答過去問をくり返し解くことで使いこなせるようになった知識を、論文対策にも転用できる可能性が高い。

そのような観点からすると、下4法の短答過去問も、解いた(目を通すだけでは、曖昧な知識で判断が狂うおそれがあり、有害無益になりかねない)「ほうがいい」ことは間違いないだろう。


しかし、下4法の短答過去問を解く「べき」かとなると、話が変わってくる。

それよりも前に、やる「べき」ことがたくさんあるからだ。

少なくとも司法試験系では(おそらく他の資格試験でも)、やった「ほうがいい」ことは無数にある。

その樹海で遭難しないようにするには、優先順位的思考が有用だ。


つまり、来年の司法試験に合格するために、まず第1に何をす「べき」か?第2位は?第3位は?…と、自分にじっくり問いかけて、できる限り具体的に確定し、その第1位から順にやっていく。

で、来年の本試験当日までにできたところまでが、あなたのベストなのだ。

優先順位の一番下まで到達できる受験生は皆無だろう…やりたいこと、やった「ほうがいい」ことを全てやることができないからこそ、この優先順位的思考で、できるところまでやるしかないのである。


ま、抽象論はこのくらいにして、以下、具体的に、一般的な司法試験受験生(≠予備試験受験生→記事「手を広げる? 」)の優先順位を提案してみる(あくまで一般論にすぎず、受験生の個性・環境によって変わりうる)。

あと、選択科目については、論文全過去問をくり返し解いて「完璧」にすべきこと以外は、全く分からない…論文過去問を解いてみて、それ以外に対策が必要だと思ったら、自分にじっくり問いかけて、優先順位に入れ込んでください。


1.

上3法の新司・予備短答全過去問を、くり返しくり返しくり返し解いて「完璧」にする。

下記2~の論文対策より優先すべき理由は、

・短答で足切りされてしまうと、せっかくの論文本試験受験経験も、成績評価が分からず、中途半端になってしまう

・このくらいできていないと、論文本試験で安定的に合格できるレベルには達しないことが多い

点にある。

2.

①全科目の新司論文全過去問(サンプル・プレ含む)と②4A論文解法パターン講義で扱った問題をくり返しくり返しくり返し解いて(できれば答案まで書いて)「完璧」にする。

①は、できる限り本試験に近い条件下で解いた(書いた)上で、合格ラインギリギリ・上位の再現答案、採点実感、出題趣旨と“照らし合わせる”。

①を本試験に近い条件下で“解こうとする”ことすらきつい・やってられないと感じたら、そう感じなくなるまで②をした上で①に進む。

3.

予備試験論文全過去問(法律実務基礎科目を含む。4A論文解法パターンテキスト掲載分は、上記2②で消化済み)をくり返しくり返しくり返し解いて(できれば答案まで書いて)「完璧」にする。
近年の司法試験に流用されている傾向があるので。

たぶん、上記2・3の途中で時間切れになる受験生が大半だと思うが、上記3までやった上で、もし余裕があれば…


4.

下4法の短答過去問を全く解いていないことが、下4法の論文対策不足にもつながりうるので、それを補完するために、下4法の新司・予備短答過去問をちょっと解いてみる。それで、上記2・3の経験を踏まえて、短答過去問解きを論文本試験でも活かせるかどうか(個人差が大きい)、自分なりに主観的に、その効果を測定する。

(1)短答過去問解きを論文本試験でも活かせると感じたら…

→下4法の新司・予備短答全過去問をくり返しくり返しくり返し解いて「完璧」にする。

(2)短答過去問解きを論文本試験には活かせないと感じたら…

→下4法の旧司論文過去問等を、新しいものから遡って(1行問題や短い問題文のは除いて)、くり返しくり返しくり返し解いて「完璧」にする。

5.
上記4までやり切って、もし余裕があれば(そんな受験生はごくわずかでもいるかどうか…)、旧司短答過去問でも、演習書でもインプット系でも、なんでも好きなことをやればいい。