基本的には、論文編で書いた、
・基本的に無駄な問題文がない。
・本試験で、過去問の焼き直し的な出題が実際多い。
・多くの人がやってるので、相対的に負けないようにやる。
・予備校問題も、過去問の焼き直しが多い。
ということが、そのまま妥当すると思う。

ただ、択一特有のこともあるかもしれないので、書いてみる。
というか、択一過去問がどんなにすばらしいか、語らせてほしい…笑
論文過去問のすばらしさは、「要件効果で書く憲法」である程度語れたし。
題材は、刑法H11-41。

○問題文
次のAからEまでの( )内に,「写真コピー」又は「原本」のいずれかの語句を入れ,「【①】。この場合とは異なり,【②】との見解がある。その理由として,【③】とするのである。これに対し,【④】との見解がある。その理由として,【⑤】とするのである。」と並び換えた場合,【①】にはAが,【④】にはDが入る。
【②】及び【⑤】に入る「写真コピー」の使用回数は何回か。
A ( )に認証文言がある場合,認証者を名義人とする新たな文書であり,このような文書の内容を改ざんすれば文書の変造に当たる
B ( )は,( )の意思内容を表示しているのではなく,( )の存在を証明するものにすぎない
C ( )は,これを見る者をして,( )そのものに接した場合と同様に認識させる特質を持つことから,( )と同程度の社会的機能と信用性を有している
D ( )は,( )の作成者の意識内容ではなく,( )の作成者の意識内容が伝達された文書と見ることができ,( )の作成名義人は,( )の作成者ではなく,( )の名義人と解される
E 認証文言が付されていない( )の場合には,( )の作成名義人は,( )の作成名義人でなく,( )を作成した者と考えるべきであり,文書自体に作成名義人が表示されていないので,文書要件を欠いていると解される

1.2回 2.3回 3.4回 4.5回 5.6回

○解答過程
1.①=A、④=D

2.①A「認証文言がある場合」+前提文章「この場合とは異なり」⇒②=E「認証文言が付されていない( )の場合」
また、④D「解される」+前提文章「この見解」との対比からも⇒②=E「解される」+前提文章「との見解」

3.とりあえず、②Eを穴埋め。
(1)感覚で⇒(写真コピー)∵「文書要件を欠いている」可能性があるのは、原本ではなく写真コピー
(2)感覚で⇒(写真コピー)∵(1)からの文のつながり+原本の名義人は問題とならないはず
(4)写真コピーには、原本の作成名義人がそのまま写し取られているはずなので、写真コピーという「文書自体に作成名義人が表示されていない」その「作成名義人は、」⇒(写真コピー)「を作成した者」
(3)「の作成名義人でなく、」(写真コピー)「を作成した者」という対比構造から⇒(原本)

4.BC=③か⑤。形式面での決め手が見つからないので、内容の方向性に着目。
②E「文書要件を欠いている」ということは、偽造罪不成立の方向だろう。前提文章「その理由」である③も、同じ方向だろう。
⇒③=Bかな?∵「~にすぎない」というネガティヴな表現
これに対し、C「社会的機能と信用性を有している」つまり偽造罪の保護法益を有している=偽造から保護されるべきと言ってるっぽいから、Cは偽造罪成立の方向だろう⇒⑤=C

5.⑤C穴埋め
(1)感覚で⇒(写真コピー)∵一貫して問題になっているのは写真コピーだから
(2)「~と同様」+(3)「と同程度」なのが(1)写真コピーだから、(2)(3)に写真コピーは入らず⇒(原本)
また、(2)「そのもの」という表現からも、(原本)っぽい。

6.③Bがあまり自信なかったので、一応穴埋めしてみる。その過程は省略するが、(写真コピー)の使用回数はCと同じになるので、③⑤にBCどちらを入れても答えは同じ。

7.答え⇒3

○解答過程で必要となった知識・理解の抽出
(ア)原本・写真コピーとはどんなものか
(イ)写真コピーに問題点がある
(ウ)文書要件を欠くと偽造罪不成立
(エ)偽造罪の保護法益
これを一般化すると、(ア)常識(イ)問題の所在(ウ)要件(エ)保護法益と、見事に「基本」事項だけで解けるようになっている。
もちろん、キーワードリンク・指示語、対比、方向性といった国語力・テクをフル活用したからだが。


…実はこれ、H16年3月に、まだ択一未合格にもかかわらず、自分の思考を整理するために某所で書いたものの下書きなんだけど、合格者だと勘違いされて少し焦った。
そりゃ、こんな偉そうに語る未合格者なんていないと思うよね、普通…。
以上のように、穴埋め・並べ替え問題における国語テクの紹介と、それをフル活用した結果見えてくる、出題者の要求する「基本」事項の確定をコンセプトとして、「国語で解く択一穴埋め・並べ替え」という合格者講義を企画した。
これは通ったんだけど、この企画はほとんど準備してなかったので負担が重く、2つやるのは無理ということでお断りさせてもらった。