最近、友人の憲民以外の答案を見る機会があったので書いてみる。
ただ、他の再現答案分析などはしていないので、普遍的・客観的な「分析」とまでは言えません。
単なる個人的な感想、ヨタ話として聞いてください。
◎刑法
○第1問
・最低ライン
→ほとんど理由なく淡々と要件にあてはめて、とにかく最後まで処理。
→1ページちょいくらいか。
・積み上げ
→本質からキーワードリンクさせた理由づけ
→たくさんある問題文の事情を使う。
・コメント
→H7以来ずっと、刑法第1問の核心は、行為分析にある。行為をどこで分断し、どこでまとめれば、スッキリとシンプルに分かりやすく書けるか。これが、出題趣旨の「事案を的確に把握してこれを分析する能力」のほとんどを占めると思う。
→本問では、どこを(共同)実行行為と見るかが問題だと思う。最低ラインの時点でもこれをある程度考えることが求められてしまうので、なかなか書き始めにくいのが難しいところ。
→民事系以外では例外的だが、図を書いた。三角形ができた。
→甲乙別々よりも、まとめて書く方がスッキリするはず。
⇒別々の書き方とまとめる書き方という共犯の2つの処理手順を詰めておくべき。
→因果関係を問題にすべきかが話題になっていたらしい。甲乙に共同正犯を成立させるなら、どこを共同実行行為と見るかにもよるが、基本的には問題にならないと思う。いずれにせよ迷ったら、サラリと触れるにとどめて流すべき。
○第2問
・最低ライン
→犯罪的行為を抽出し、ほとんど理由なく淡々と要件にあてはめて、とにかく最後まで処理。
→改行が多くなるので、2ページくらいになってしまうか。
・積み上げ
→保護法益・本質からキーワードリンクさせた理由づけ
→問題文の事情を使う。
→各犯罪間の関係。
・コメント
→やや易か。第1問とのバランスをとったのかも。
→第1問と比べ、行為分析はほとんど必要ないが、具体的に問題文のどの行為を犯罪的行為として抽出したかは明確にしておくべき。それによって、各犯罪間の関係が変化しうると思う。
◎民訴
○第1問
・最低ライン
→「訴状の必要的記載事項の趣旨」をひとこと書いた上で、「その不備を理由とする訴状の却下について」、「その裁判の形式」を踏まえて、何か少し書く。問題文には、「その裁判の~効果」も「踏まえ」ろと指定されているが、何を書くべきかいまいち分からない人(俺も)がある程度いるような気がするので、最低ラインではないと判断した。
→5行くらいで済むはず。あとは積み上げを考えるだけという意味では、楽な問題。
・積み上げ
→「その裁判の~効果」について、何か書く。やはり既判力が無難か。出題趣旨の「訴状却下命令のための審理において口頭弁論が開かれない理由」は思いつきにくいだろう。
→それぞれの制度趣旨を多少厚めに書く。
→お約束のキーワードリンク。「迅速」あたりがやりやすいか。
・コメント
→H16以来、民訴の一行問題は、問題文の指定≒ヒントが多い。その指定にひとことで端的に答えることを第一目標として、あとは時間の許す限り積み上げるという姿勢でいれば、かなり書きやすいと思う。
○第2問
・最低ライン
→場合1後段・場合2を無難に処理し、場合1前段については言い訳でも書きながらミスを最小化する。
→場合1前段は、研修所でやること。ただ、過去問にもこれ系は2回くらい出ている。
→1ページくらいか。
・積み上げ
→場合1後段を、自白の拘束力の根拠から論理的に書く。
→場合2で、問題文の事情を使う。そのために、問題文の事情を最大限使えるような適切な規範を、できるだけ具体的に立てる。ちなみに、出題趣旨の「どのような場合に」信義則が適用されるかを問うというのは、規範定立能力を見ているとも読める。(cf)刑訴第1問
→場合1前段を適切に処理する。ただ、研修所的なやり方を知ってるかどうかでほぼ勝負がつくので、現場での積み上げは難しいと思う。
・コメント
→研修所的な問題を出してきた意図は、新試との比較か、前期短縮のためか。
→過去問フェチとしてあえて言うが、民訴第2問は毎年、他の問題に比べると「悪問」のような気がする。受験生の実情を見ていない・考慮しようとしていない点で。このくらいはできてほしいという期待が高いのは分かるが、人材選別を試験の主目的とするならば、受験生の実情を見誤っていることには少々問題ありかと思う。ただ、予備校問題と比べると天と地の差があることは間違いない。
→出題趣旨が毎年「~べきである。」調で書かれているところに、上記のような理想と現実の乖離が端的に現れている、と読むのは穿ちすぎだろうか。
◎刑訴
○第1問
・最低ライン
→警察官の問題行為を抽出し、淡々と要件などにあてはめて、とにかく最後まで処理。ただ、「場所≠身体」の論点は、皆が書いてくると思うので触れるべきだろう。
→1ページくらいか。
・積み上げ
→抽出した警察官の問題行為を、スッキリとシンプルに分かりやすく分析する。刑法に少し似ている。H12・14・17など、最近頻出気味。
→原則例外構造を明示する。
→原理原則・趣旨からキーワードリンクさせた理由づけ
→問題文の事情を使う。そのために、問題文の事情を最大限使えるような適切な規範を、できるだけ具体的に立てる。ちなみに、出題趣旨の「いかなる場合に~を問う」というのは、規範定立能力を見ているとも読める。
(cf)民訴第2問
・コメント
→刑訴は、本問のように、問題文の事情を使って憲法と同等以上にあてはめまくれるおもしろい問題が結構あるが、最後の科目で疲れているため、あまりやりすぎるとミスが出る可能性が高い点に注意。
○第2問
・最低ライン
→伝聞法則、その趣旨、伝聞例外のお決まり論証と、実況見分調書に321Ⅲを使うという結論及びひとこと理由、要件検討あたりか。
→1ページくらいか。
・積み上げ
→伝聞法則・例外の趣旨とキーワードリンクさせた理由づけ
→③を現場供述と指摘。
→冒頭の問題文の事情を使うとなお良い。
→②を現場指示と指摘。
→現場指示にも現場供述にもなりうることを説明できればなお良い。
→具体的にどういう捜査がなされたか例示してあるとさらに良い。
→①では伝聞過程×1、現場供述では伝聞過程×2であることを説明し、それらの払拭手段として伝聞例外規定の要件検討。ここで問題文の事情を使うとなお良い。
→現場供述の部分は提出できないことになるはずだが、
→実況見分調書全体を実際に公判でどのように提出させるかを書く。
→提出できない現場供述部分の立証をどうするのかを書く。
→弁護人の「不同意」に対して、裁判所が何かできないか、それに対して予想される弁護人の対応などの流れを書く。
→危険運転致死罪の罪質にどこかで触れる。法定刑が重いので否認する可能性が高いとか、どこを否認しそうかとか、立証するにはどんな証拠が必要かとか。
・コメント
→上記積み上げが全てできれば、ほぼ満点じゃないかと自負。逆に言えば、ここまで書く必要は全くなく、
→③を現場供述と指摘。
→②を現場指示と指摘。
→①では伝聞過程×1、現場供述では伝聞過程×2であることを説明し、それらの払拭手段として伝聞例外規定の要件検討。≒H17-2
までで十分Aが取れるような気がする。
→ちなみに、前期に類題が出た。「不同意」と、付けなくてもいいカギカッコをわざわざ付けていることからピーンと来た。いずれも、新実例Ⅲに元ネタあり。
◎商法
○第1問
・最低ライン
→条文を適切に挙げ、ほとんど理由なく淡々と要件にあてはめて、とにかく最後まで処理。
→1ページくらいか。
・積み上げ
→問題文の事情を使う。
→趣旨からキーワードリンクで理由づけ。
・コメント
→まさに基本的な出題。司法試験委員会ウソつかない。ただ、「基本的な出題」とはどういうものか不明確なのが問題だったんだけど。
○第2問
・最低ライン
→とにかく最後まで処理。その中で、無効手形と白地手形の区別に触れる必要はあるかも。
→1ページ弱くらいか。
・積み上げ
→たくさんある問題文の事情を使う。権利外観の筋にすると使いやすいか。
・コメント
→手形でこれだけ問題文の事情がてんこ盛りなのは初めて。
→権利外観を使ったとき、債務発生における瑕疵のみを治癒するというニュアンスで書くのか、権利移転における瑕疵まで治癒するというニュアンスで書くのかで、善意取得を書くべきかどうかが変わってくると思う。出題趣旨の「整合的な論述」とは、これを指すのでは。これは、H16-2の表見法理でも出てきた問題で、その出題趣旨には「整理された論述」という文言あり。
ただ、他の再現答案分析などはしていないので、普遍的・客観的な「分析」とまでは言えません。
単なる個人的な感想、ヨタ話として聞いてください。
◎刑法
○第1問
・最低ライン
→ほとんど理由なく淡々と要件にあてはめて、とにかく最後まで処理。
→1ページちょいくらいか。
・積み上げ
→本質からキーワードリンクさせた理由づけ
→たくさんある問題文の事情を使う。
・コメント
→H7以来ずっと、刑法第1問の核心は、行為分析にある。行為をどこで分断し、どこでまとめれば、スッキリとシンプルに分かりやすく書けるか。これが、出題趣旨の「事案を的確に把握してこれを分析する能力」のほとんどを占めると思う。
→本問では、どこを(共同)実行行為と見るかが問題だと思う。最低ラインの時点でもこれをある程度考えることが求められてしまうので、なかなか書き始めにくいのが難しいところ。
→民事系以外では例外的だが、図を書いた。三角形ができた。
→甲乙別々よりも、まとめて書く方がスッキリするはず。
⇒別々の書き方とまとめる書き方という共犯の2つの処理手順を詰めておくべき。
→因果関係を問題にすべきかが話題になっていたらしい。甲乙に共同正犯を成立させるなら、どこを共同実行行為と見るかにもよるが、基本的には問題にならないと思う。いずれにせよ迷ったら、サラリと触れるにとどめて流すべき。
○第2問
・最低ライン
→犯罪的行為を抽出し、ほとんど理由なく淡々と要件にあてはめて、とにかく最後まで処理。
→改行が多くなるので、2ページくらいになってしまうか。
・積み上げ
→保護法益・本質からキーワードリンクさせた理由づけ
→問題文の事情を使う。
→各犯罪間の関係。
・コメント
→やや易か。第1問とのバランスをとったのかも。
→第1問と比べ、行為分析はほとんど必要ないが、具体的に問題文のどの行為を犯罪的行為として抽出したかは明確にしておくべき。それによって、各犯罪間の関係が変化しうると思う。
◎民訴
○第1問
・最低ライン
→「訴状の必要的記載事項の趣旨」をひとこと書いた上で、「その不備を理由とする訴状の却下について」、「その裁判の形式」を踏まえて、何か少し書く。問題文には、「その裁判の~効果」も「踏まえ」ろと指定されているが、何を書くべきかいまいち分からない人(俺も)がある程度いるような気がするので、最低ラインではないと判断した。
→5行くらいで済むはず。あとは積み上げを考えるだけという意味では、楽な問題。
・積み上げ
→「その裁判の~効果」について、何か書く。やはり既判力が無難か。出題趣旨の「訴状却下命令のための審理において口頭弁論が開かれない理由」は思いつきにくいだろう。
→それぞれの制度趣旨を多少厚めに書く。
→お約束のキーワードリンク。「迅速」あたりがやりやすいか。
・コメント
→H16以来、民訴の一行問題は、問題文の指定≒ヒントが多い。その指定にひとことで端的に答えることを第一目標として、あとは時間の許す限り積み上げるという姿勢でいれば、かなり書きやすいと思う。
○第2問
・最低ライン
→場合1後段・場合2を無難に処理し、場合1前段については言い訳でも書きながらミスを最小化する。
→場合1前段は、研修所でやること。ただ、過去問にもこれ系は2回くらい出ている。
→1ページくらいか。
・積み上げ
→場合1後段を、自白の拘束力の根拠から論理的に書く。
→場合2で、問題文の事情を使う。そのために、問題文の事情を最大限使えるような適切な規範を、できるだけ具体的に立てる。ちなみに、出題趣旨の「どのような場合に」信義則が適用されるかを問うというのは、規範定立能力を見ているとも読める。(cf)刑訴第1問
→場合1前段を適切に処理する。ただ、研修所的なやり方を知ってるかどうかでほぼ勝負がつくので、現場での積み上げは難しいと思う。
・コメント
→研修所的な問題を出してきた意図は、新試との比較か、前期短縮のためか。
→過去問フェチとしてあえて言うが、民訴第2問は毎年、他の問題に比べると「悪問」のような気がする。受験生の実情を見ていない・考慮しようとしていない点で。このくらいはできてほしいという期待が高いのは分かるが、人材選別を試験の主目的とするならば、受験生の実情を見誤っていることには少々問題ありかと思う。ただ、予備校問題と比べると天と地の差があることは間違いない。
→出題趣旨が毎年「~べきである。」調で書かれているところに、上記のような理想と現実の乖離が端的に現れている、と読むのは穿ちすぎだろうか。
◎刑訴
○第1問
・最低ライン
→警察官の問題行為を抽出し、淡々と要件などにあてはめて、とにかく最後まで処理。ただ、「場所≠身体」の論点は、皆が書いてくると思うので触れるべきだろう。
→1ページくらいか。
・積み上げ
→抽出した警察官の問題行為を、スッキリとシンプルに分かりやすく分析する。刑法に少し似ている。H12・14・17など、最近頻出気味。
→原則例外構造を明示する。
→原理原則・趣旨からキーワードリンクさせた理由づけ
→問題文の事情を使う。そのために、問題文の事情を最大限使えるような適切な規範を、できるだけ具体的に立てる。ちなみに、出題趣旨の「いかなる場合に~を問う」というのは、規範定立能力を見ているとも読める。
(cf)民訴第2問
・コメント
→刑訴は、本問のように、問題文の事情を使って憲法と同等以上にあてはめまくれるおもしろい問題が結構あるが、最後の科目で疲れているため、あまりやりすぎるとミスが出る可能性が高い点に注意。
○第2問
・最低ライン
→伝聞法則、その趣旨、伝聞例外のお決まり論証と、実況見分調書に321Ⅲを使うという結論及びひとこと理由、要件検討あたりか。
→1ページくらいか。
・積み上げ
→伝聞法則・例外の趣旨とキーワードリンクさせた理由づけ
→③を現場供述と指摘。
→冒頭の問題文の事情を使うとなお良い。
→②を現場指示と指摘。
→現場指示にも現場供述にもなりうることを説明できればなお良い。
→具体的にどういう捜査がなされたか例示してあるとさらに良い。
→①では伝聞過程×1、現場供述では伝聞過程×2であることを説明し、それらの払拭手段として伝聞例外規定の要件検討。ここで問題文の事情を使うとなお良い。
→現場供述の部分は提出できないことになるはずだが、
→実況見分調書全体を実際に公判でどのように提出させるかを書く。
→提出できない現場供述部分の立証をどうするのかを書く。
→弁護人の「不同意」に対して、裁判所が何かできないか、それに対して予想される弁護人の対応などの流れを書く。
→危険運転致死罪の罪質にどこかで触れる。法定刑が重いので否認する可能性が高いとか、どこを否認しそうかとか、立証するにはどんな証拠が必要かとか。
・コメント
→上記積み上げが全てできれば、ほぼ満点じゃないかと自負。逆に言えば、ここまで書く必要は全くなく、
→③を現場供述と指摘。
→②を現場指示と指摘。
→①では伝聞過程×1、現場供述では伝聞過程×2であることを説明し、それらの払拭手段として伝聞例外規定の要件検討。≒H17-2
までで十分Aが取れるような気がする。
→ちなみに、前期に類題が出た。「不同意」と、付けなくてもいいカギカッコをわざわざ付けていることからピーンと来た。いずれも、新実例Ⅲに元ネタあり。
◎商法
○第1問
・最低ライン
→条文を適切に挙げ、ほとんど理由なく淡々と要件にあてはめて、とにかく最後まで処理。
→1ページくらいか。
・積み上げ
→問題文の事情を使う。
→趣旨からキーワードリンクで理由づけ。
・コメント
→まさに基本的な出題。司法試験委員会ウソつかない。ただ、「基本的な出題」とはどういうものか不明確なのが問題だったんだけど。
○第2問
・最低ライン
→とにかく最後まで処理。その中で、無効手形と白地手形の区別に触れる必要はあるかも。
→1ページ弱くらいか。
・積み上げ
→たくさんある問題文の事情を使う。権利外観の筋にすると使いやすいか。
・コメント
→手形でこれだけ問題文の事情がてんこ盛りなのは初めて。
→権利外観を使ったとき、債務発生における瑕疵のみを治癒するというニュアンスで書くのか、権利移転における瑕疵まで治癒するというニュアンスで書くのかで、善意取得を書くべきかどうかが変わってくると思う。出題趣旨の「整合的な論述」とは、これを指すのでは。これは、H16-2の表見法理でも出てきた問題で、その出題趣旨には「整理された論述」という文言あり。