テコギ、通説への乗り換え断念。
やはり、ゴチャッとした感じがする。
どういう場面でどういう議論をすればいいのか、よく分からない。
特に権利外観法理の使い勝手が良すぎて、他の法理の守備範囲まで浸食してしまっている気がする。
それはそれでいいのかもしれないが、本試験までにそういう暴れ馬を使いこなせるようになる自信がない。

俺は今、二段階じゃない創造説、というか坂井説をベースに、適宜判例をミックスしている。
どういう場面でどういう議論をすればいいのかが明確で、メカニカルに事案を処理できる場合が多いのがよい。
でも、通説への乗換えを検討したのは、去年の問題がきっかけ。
○表見代理責任の位置づけがいまいちよく分からん。手形上の責任として表章されるのか、民法上の議論になるのか。
○判例で無権代理責任は「法定」担保責任なのに、「法定」されてない善意無重過失という要件を加重していいのか。
○表見・無権代理責任の承継取得という概念となじまないような気がする。善意取得を論じなければならないのかどうなのかもよく分からん。
○裏書の担保責任で法定責任説、手形行為独立の原則で当然説を採るのが、採点者に論理矛盾ととられないかも心配。

このようにリスクが高い。
坂井先生がご存命なら質問できるのに…イタコに呼び出してもらいたいくらいだ。
他に、二段階創造説というか前田説への乗り換えも検討しようとは思っているんだけど、坂井先生によるとあれもおかしなところが結構あるんだよね。権利の分属とか、裏書の担保責任の意思表示責任説とか。
一度そういう話を聞いてしまうと、あまり前田説を採る気がしなくなる。
少数有力説に惹かれてしまう学説マニア受験生の気持ちが少し分かるような。

あらゆる学説(判例とかも)は問題解決のためのツールにすぎないと思ってはいるんだけど、理論科目ではかなり大きくて重いツールになってしまう。
しかもテコギは今年出題されるかも分からない、5分の2科目分くらいの比重しかない分野だから、色んな重いツールを使いこなせるように訓練するのは点数効率が悪い。
とりあえず坂井説+判例の処理を詰めていく方向でやろうかな、と。
上記疑問にも自分なりの答えは出してあるし。