ノーベル医学・生理学賞の受賞会見で、京都大学特別教授の本庶佑さんのが仰ったこの↓言葉を知っていますか?

何が正しいか分からないところで山をみんなで攻めようというのはナンセンスだ。多くの人にできるだけ多くの山を踏破してもらって、そこに何があるか理解したうえで、どの山が本当に重要な山かを調べる。そういう段階だ。
だから、もっと予算をばらまくべき。ばらまき方にもやり方があるが、特に若い人など、もっとたくさんの人にチャンスを与えるべきだと思う
』※

 

https://youtu.be/lwcr6GF7r0k
(THE PAGE(ザ・ページ)より 19:50あたりから)

しかし報道はこの部分を削除しているものばかり。

<ノーベル賞:「多くの幸運で受賞に」 本庶さん一問一答 - 毎日新聞>
 
https://mainichi.jp/articles/20181002/k00/00m/040/116000c

<本庶さん「チャンスを若い人に」 基礎研究の大切さ力説:朝日新聞デジタル>
 
https://www.asahi.com/articles/ASLB16D4WLB1PLBJ00C.html

予算についてのジョーシキ、「ばらまくなんてケシカラン!選択と集中だ!」という話は「何が正しいかはわかっているから、事前にそれを選択できる」という前提がある。
いわば
「やってみなくてもわかる」 

ということだから、「何が実を結ぶか、やってみないとわからないから」という本庶氏の発言は都合が悪い。
そして世間が「ノーベル賞をとった人も『もっと予算をばらまくべきだ』って言ってるのだからもっとばらまこう!」という空気になったら困るから、この部分を削った?


また本庶氏は「ライフサイエンスは未来への投資だ」とも仰っています。
確かに、たくさんの種を蒔き芽を育てれば、将来そのどれかが大きな実をつける可能性が高くなる。

ノーベル賞になど全く縁のない私のような人間が、未来の為にできること。
それは
「バラマキを支持すること」

だと思うのです。
 
20年とか30年後に大きな実を結ぶのがあるかもしれない。
その光景を見ることはできないかもしれない。
それでもまぁ、何だかちょっと楽しみにもなるし。
 
それこそ
「将来世代への贈り物」

ではないでしょうか?
〜〜〜〜〜

 <ノーベル賞 本庶佑さん 記者会見の要旨 | NHKニュース  >
 
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181002/k10011654191000.html
『Q:今後、このがん免疫療法をどのような治療の選択肢として発展させていきたいか?

「この治療は、例え話としては、感染症におけるペニシリンというふうな段階でありますから、ますます、これが、効果が広い人に及び、また、効かない人はなぜ効かないのかという研究が必要です。世界中の人がやっていますから、やがてそういうことが、いずれは解決されて、感染症がほぼ大きな脅威でなくなったのと同じような日が、遅くとも今世紀中には訪れるという風に思っています」

Q:自分が心がけていること、モットーは?

「私自身は、研究に関して、何か知りたいという好奇心がある。もう1つは、簡単に信じない。それから、よくマスコミの人は、ネイチャー、サイエンスに出ているからどうだ、という話をするが、僕はいつもネイチャー、サイエンスに出ているものの9割はうそで、10年たったら、残って1割だと思っています。まず、論文とか、書いてあることを信じない。自分の目で、確信ができるまでやる。それが僕のサイエンスに対する基本的なやり方。つまり、自分の頭で考えて、納得できるまでやると言うことです」

「賞というのは人が決めることで、それは賞を出すところによっては考え方がいろいろ違う。ひと言で言うと、私は非常に幸運な人間で、『PD-1』を見つけた時も、これが、がんにつながるとは思えなかったし、それを研究していく過程で、近くに、がん免疫の専門家がいて、私のような免疫も素人、がんも素人という人間を、非常に正しい方向へ導いていただいたということもあります。それ以外にもたくさんの幸運があって、こういう受賞につながったと思っています」

Q:がん研究の転機となるような経験は?

「『PDー1』の研究でいうならば、最初のこれが、がんに効くということを確信できる実験というのは、『PDー1』遺伝子が欠失したネズミを使って、がんの増殖が、正常のねずみと差が出るかどうかということをやった。それが私はよかったと思います。というのは抗体で実験していて効かなかったら、ひょっとしたら諦めていたかもしれない。抗体にはいい抗体と悪い抗体とたくさんあり、それはやってみないとわからない。しかし、遺伝子がない場合はそういうことは関係ないので、これは必ず効くということを確信できたので、それがやはり大きな転機になったと思います」

Q:日本の研究の方向性についてどう思うか? また、日本の製薬企業についてどう感じているか?

「生命科学というのは、まだ私たちはどういう風なデザインになっているかを十分理解していない。AIとか、ロケットをあげるというのはそれなりのデザインがあり、ある目標に向かって明確なプロジェクトを組むことができる。しかし、生命科学は、ほとんど何も分かってないところで、デザインを組むこと自身が非常に難しい。その中で応用だけやると、大きな問題が生じると私は思っています。つまり、何が正しいのか。何が重要なのかわからないところで、『この山に向かってみんなで攻めよう』ということはナンセンスで、多くの人にできるだけ、たくさんの山を踏破して、そこに何があるかをまず理解したうえで、どの山が本当に重要な山か、ということを調べる。まだそういう段階だと思います。あまり応用をやるのでなくて、なるべくたくさん、僕はもうちょっとばらまくべきだと思います。ただばらまき方も限度があってね、1億円を1億人にばらまくと全てむだになりますが、1億円を1人の人にあげるのではなくて、せめて10人にやって、10くらいの可能性を追求した方が、1つに賭けるよりは、ライフサイエンスというのは非常に期待を持てると思います。もっともっと、たくさんの人にチャンスを与えるべきだと思います。特に若い人に」

「製薬企業に関しては、日本の製薬企業は非常に大きな問題を抱えていると思います。まず、数が多すぎます。世界中、メジャーという大企業は20とか30くらいですが、日本は1つの国だけで、創薬をやっているという企業だけで30以上ある。これはどう考えても資本規模、あらゆる国際的なマネジメント、研究で、非常に劣ることになる。なおかつ、日本のアカデミアには、結構いいシーズ=研究の種があるのに、日本のアカデミアよりは外国の研究所にお金をたくさん出している。これは全く見る目がないと言わざるをえないと思います」
Q:研究者を目指す子どもに思ってほしいことは?

「研究者になるということにおいていちばん重要なのは、何か知りたいと思うこと、不思議だなと思う心を大切にすること。教科書に書いてあることを信じない。常に疑いを持って、本当はどうなってるんだ、という心を大切にする。つまり、自分の目でものを見る。そして納得する。そういう若い小中学生にぜひ、研究の道を志してほしい思います」

Q:基礎研究を臨床につなげるためのコツは?

「基礎研究をやってますが、私自身は医学を志しています。ですから、常に何かの可能性として、これが病気の治療とか、診断とかにつながらないかと言うことは常に考えています。自分の好奇心と、さらに、その発展として、社会への貢献ということは、私の研究の過程では常に考えてきました。ですから、そういう意味で、新しい発見を特許化したり、そういう応用への手順は非常に早い段階からいろんな局面でやってきました。突然、『PDー1』は臨床につながりましたが、私の研究マインドとしては、基礎研究をしっかりやって、もし可能性があれば、社会に還元したいという思いは常にありました」