夢の国に行く予定で

ニノにチケットも取ってもらったのに


雨だ...


本当、俺は雨男だ...


生まれた日も雨ならお宮参りも雨だったらしいし…学校の行事の殆どが雨か曇。


だから...慣れているはずなのに


今日だけは...残念だ...



ずっと好きだった翔君に

勇気を出して想いを告げたけど

真剣に取り合ってくれなくて。


何度も何度も告白するから

真剣に聞いてもらえてないみたい


だって...


俺には時間がない


だから...もう、今日一日で

キッパリと諦める、

...今日一日だけは色々忘れて楽しもうと思ったのに。


もう1時間...翔君からは連絡もない。

俺のメッセージに既読も付かない


何か...事故とかに巻き込まれていたりしないだろうか...ずっとスマホの画面を見ているけれど、くるのはつまらない通知ばかり...イライラを逃がそうと顔を上げた


あ...


翔君だ...


けれど...翔君は、一人じゃなかった


見た事もない男が隣を歩いてる


傘で顔はよく見えないけれど



翔「ごめん!遅れてしまって。

途中でコイツに捕まって...。

あ、コイツ、同僚の相葉。

実は相葉と今日、先に約束してたらしくて...。

だから...相葉も一緒でもいい?」


相「初めまして!相葉です!宜しく!」


智「...ああ...、大野です...」


翔「待たせたお詫びに昼飯、ご馳走するよ」


智「...うん...」





目の前で並んで座る二人は

俺には分からない話で盛り上がってる

プロジェクトがどうとか、部長がパワハラだとか.、受付に可愛い新人が来たとか..


いいな...会社員て。

楽しそうだな...。



相「大野君は、仕事、何してるの?」


翔「そうだよ、貴方、何してるの?」


智「ああ...自営業?家の手伝い」


翔「え?そうなの?」


相「すごいじゃん!次期社長だ!!


智「そんな良いもんじゃないよ。

...あ、ごめん。

俺...ちょっと先に帰るね。

今日は、なんか...俺、お邪魔虫でごめんね。

じゃ!」


天気だとかクーポンだとか、どうでもいい通知が並んだ画面を、いかにも重要な連絡が来たかのように確認して慌てたふりして席を立った



翔「...え?、ちょっと待って!」


智「ごめん。後は予定通り二人で楽しんで!

翔君、ご馳走様でした」


 



相「行っちゃったね...。良かったの?本当に」


翔「ああ。仕方ないだろ?俺は...あの人の想いに応えられないんだから。これで...いいんだ」


相「...素直じゃないね...。

きっと、後悔するよ」


翔「...........。」



・・・・・



相葉が言った通り...


多分...この気持ちを、後悔というんだろう



連絡もせず待ち合わせに遅れて

“デート“ だと誘ってくれたのに、貴方の知らない男を連れて行って...


二人きりで会うのが



辛かったんだ...



貴方に好きと言われる度に

断るのも疲れた


悲しそうな顔も見たくなかった


だから...ギリギリで相葉に頼んで来てもらった

哀しそうな顔の貴方を目の当たりにして


心底...後悔した


その日、謝ろうとかけた電話は繋がらなかった


次の日にはもう…解約されていて




貴方に会えなくなってしまった