智の空気が変わった


相葉が言う通り既に意識が落ちてもいい頃合いだろうに何事もないように長瀬君の所まで歩いて行き、自分より大きな身体を立たせると相手の細っこい男に蹴りを入れ床に叩きつけた


怒っている...


間違いなく、智が...

あの智が怒りに震えている

真っ暗なトンネルの中で

自らの怒りを激らせ閃光を放ったかのように...


男達を薙ぎ倒していく


その気迫は間違いなく

俺達が...命をかけて守ると決めたボスの背中


そして...松岡さんが智の前に立ちはだかった



松「そっちがその気なら...本気でいかせてもらう..

言っておくが...先に手を出したのはお前らだ」


目の前では一触即発の互いに譲らない空気の中で俺は冷静に櫻井を見ていた

何をするでもなく、ただ立ち尽くす姿


情けねぇ野郎だな...



・・・・・



大好きだった人が目の前にいる


こんな風に再会したくはなかった


翔君は俺の事を何も知らない

と、いうか知ろうともしなかったのだろう

興味がないのだから当たり前か


翔君が自分と同じだと知ってから

どうしてだか綺麗さっぱりコイゴゴロは消えた

冷静に考えれば、そうじゃなくても翔君が俺の想いに応えてくれるはずもない。


仮に...両想いだったとしても


お互いに多くのものを背負って行く立場


俺と違い家業を継ぐ事は避けられないだろう翔君となんて...夢見る夢子もいい所だ


このまま...立ち去れればよかったけど


長瀬君は俺の家族だ。

家族を傷付ける奴は...例えそれが翔君にとっての家族でも...許さない



智「松兄...どいて。俺が...仕留める...」