意識が飛びそうになる頭で

ボンヤリと思い出していた

ついさっきの事なのに

遠い昔の記憶みたいだ


兵隊の数が違う...


ああ...こういう事か...


わらわらと人が増えていく

松兄も長瀬君も...決して手は出さない

ひたすら相手の攻撃を避ける


だがもう...無理だ



これ以上は足手纏いになるだけ...



俺を殺したいわけではない事は分かっている

なら...何の薬かは分からないが死に至るものではないはず...俺の命を奪ったとなれば、あの男はただじゃ済まないだろう...

ここは...俺一人が残れば丸く収まる...


智「潤...取り敢えず、止まって...」


俺の腕を肩に回して走る松潤に伝える


潤「もう少しだ...我慢しろ...」


智「...もう...息するのも辛ぇ...ハァ......おとなしく...解毒剤もらうわ...」


潤「...まて...お前、またバカな事考えてんだろ?残して行くつもりはねぇぜ」


智「...頼む...もう...限界...」


駄々こねてる俺に気付いた松兄が側に来た


松「...お前が考えそうな事だが...置いてはいかない。“無傷で連れて帰って来い“ が会長の命令でね。

会長が言う事は絶対なんだよ。諦めろ...。

分かってると思うが...お前が盛られた薬は死にゃしねぇよ...ふふ...知ってるか?ここの奴らが裏で稼いでるのはな...」


松兄の向こうで長瀬君のデカい身体が崩れ落ちた...物騒な物を持った男が味方の制止を跳ね除けて、こっちに向かって来る...


ダメだ...


誰一人...傷付けるわけにはいかない


俺以外の血は一滴も流させない...