花火...
まだ音がなかった頃
僕の耳にも
少しだけ響いた
打ち上げ花火の
遠くに...遠くに、微かに届いた音
目だけでも十分に楽しめる花火に
翔君は毎年...必ず連れて行ってくれた
あの夏を除いて...
あの夏...翔君とお別れした年の花火大会以降
無意識に…花火大会を避けていたんだ...
☆*:.。. ˚✧₊⁎⁺˳✧༚o .。.:*☆
僕には土日祝日の概念がなかったから意識した事なかったんだけど。
翔君が『祝日が増えたよ』と教えてくれたのは何年前だっけ...せっかくだからと遠くの山に連れて行ってくれた...
冬はスキー場のその場所で
高い所が苦手なのにリフトに一緒に乗ったっけ...
ふふ...
懐かしいな...
あの頃は、夜しか人前で手を繋ぐなんて考えられなかったけど...今はこうして
カイの手で繋がっている
カ「バーン、と...キラキラ、いっしょじゃないは、どーして?」
光と音には時差があるから
花火と音が同時じゃない事が不思議なのだろう...僕も子供の頃、思ってた
難しい事は僕には分かんない...
智「翔君なら知ってるんじゃないかな?」
翔君はカイの『なんで?』に
いつも真剣に答えてくれる
子供だからと適当になんてしない
でも、カイは翔君の説明が難しくて分からない時が殆どで、途中から翔君の唇を摘んで喋れないようにして強制終了させる。
それでもいいんだって。
子供の『なんで?どうして?』が学びの第一歩で、それに答えてやろうとする事が親にとっても知識を増やせる良い機会なんだって...。
今もスマホで調べてくれてる。
ただ...いつもは待てるカイも今日は翔君の答えを待てない
『なんで』はもう消えて頭の上で広がる花火に
目を輝かしている。
背中を支えてやらないとひっくり返りそうなくらい見上げている。
少し垂れた目はキラキラしていて
ポカンと開いているお口の可愛さも
花火に負けない
初めて三人で...花火大会に来る事が出来て
良かった...
あの夏...翔君越しの浴衣姿の女の人を...愛おしそうに見つめていた翔君を見つけて...
その二人の姿があまりにもお似合いで...
まだ別れを切り出されたわけじゃないんだから...と、言い聞かせて上を向いた
どうしたって...涙は止まらなかったけど
もう...
花火大会になんて縁がないと思っていたけど
カイの喜ぶ顔を見れて
また、翔君と同じ花火を見れて
嬉しい...
どうか...来年も
再来年も...その先も
ずっと...ずっと
花火が上がる平和な世界でありますように
ずっと...ずっと
花火が...僕ら三人と
この空の下にいる全ての人達に
幸せと勇気をくれますように...
智「カイ、練習したでしょ?」
カ「うん!!せーの!」
「「「やーまやーーー‼︎」」」
終。
少し切ない話になりました...
初めてやまの日祭り、参加させていただきました。
(海斗のお留守番の様子はまた後程...)
どうやら『カイトです...』でフェスに行って花火を楽しんでいる等閑一家が存在しております(笑)取り敢えず...限定に移しておきました。この話とは全く別物と思ってもらえたら嬉しいです(ちゃんと読み返さないからこんな事になるw)
やよさん、いつも楽しい企画をありがとうございます。
