松兄の出発が早くなった


患者の容体が芳しくないらしい。


常に患者ファーストでプライベートも患者の為に躊躇なく使う松兄にしては珍しく、前倒しを依頼してきた先輩に渋って即答しないから...

...わざわざ向こうから迎えの人が来るらしい...



智「松兄、どうしたの?おかしいよ?少し早くなるだけでしょ?荷物も送ってるしこっちの患者の引き継ぎも済んでるのに...どうして行ってあげないの?」


松「...予定を他人に変えられるのが気に入らねぇな」


智「なに言ってるの?僕らの仕事は予定なんて...あって無いようなものでしょ?何か、他に理由があるの?」


松「...俺はね、残りの日数を満喫しようと思ってたんだ。まだ、日本でやらなきゃいけない事もある。なのに、急に来いとか...」


智「それでも。患者さんは松兄を待ってるんだよ。松兄にしか助けられないんだよ!命より優先しなきゃいけない用事って何?僕が代わってあげる。ワガママ言ってないで、早く行きなよ!!

行かないんなら...、僕も行かない。ここに残る」


松「............」


智「はぁ......もういい。好きにすれば?」


松「分かったよ...。行きゃあいいんだろ!」





相葉から例のネックレスを智が持っていると聞き、直ぐに警察の手に行くように二人で考えた


相葉がこっそりすり替えるのはどうかと言ったが、同じ物は存在しない。

一点物だったペンダントを櫻井君がジュエリーデザイナーに頼み込んで同じ物を作らせたらしいから、その二つ以外に同じ物がないんだ。


大野に全てを話して...、


いや、ダメだ...。


そんな事をしたら.....



松「大野。...お前...、俺と付き合ってんのに

まだ、前の男にもらったネックレスを大事にしてるよな?」


智「......え...。いきなり、なに?」


松「それ、俺に寄越せ。俺が処分してやる」


智「.急に何言い出すの。松兄には、関係ないでしょ?ただのネックレスで何も深い思い入れは...ないよ...」



ズボンのポケットに手を入れて俯いた。


やはり、持ち歩いていたんだな...


相葉が留守中に探しても見つからないはずだ...


とにかく...急がないと。



取り返しのつかない事になる前に...