翔君が消えてから

ゆっくりと時間は流れた


仕事の忙しさに救われた


何も余計な事を考えず

ただ、目の前の事を片付けていった

それはもう...流れ作業のように


自分が何に沈んでいたのか...

考えた時、可笑しくて...

やっと...そういう風に

馬鹿げていると、思えるようになった。


だって...僕は、翔君が好きだったんじゃない

前とは違う...



過去の...真剣に付き合っていたあの頃

『好きな人が出来たから別れて欲しい』と言われ...一方的に終わりを告げられた。


将来を固く誓ったのに

呆気なく終わった...


なんとか...折り合いを付けた



終わった恋愛に縋り付き

もう立ち直れないと涙に明け暮れるのは

僕だけじゃないはず、だと。


街に溢れる人の中には

僕よりも辛い人もきっといる...

自分より不幸な人は沢山いるんだと

人間としては最もダメな考え方で前を向いた


そうでもしないと

立ち上がれなった


みんな...何かしら乗り越えて

自分なりの方法で上を見て

生きているんだ...


あの時は...傷付いて当たり前だから

周りを巻き込んで悲劇の底に沈んでいた

それも許された


でも。


今回は...“好きでもない居候が一人、出て行っただけ” なのに、何を沈んで傷心してんだよ、って、話なんだよね...


今日、相葉ちゃんが連れて行ってくれたパワースポットで


僕はパワーをもらうというより

僕にとっての要らない物を吸い取ってもらった感じ...


そう、晴れ晴れとした気分なんだ...


翔君が僕の事をすっかり忘れてしまったように...僕も翔君の事は...あの場所に置いて来た



目を閉じて一番に浮かんだのは


もう...翔君じゃなかった...




だから...今日...



僕は...























“だから...今日...“ 智君はどうするつもりでしょうか。