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松岡先生は、眠っている智君の首筋に手を当て体温を確認し、隣で眠る海斗の頭を優しく撫でて帰って行った。

もう、大丈夫だろうと。

起きたら沢山、水分を摂らせて食欲がないなら無理に食べさせなくていい事と...いつも通り接するようにと言い残して。


何があったのか本当の事を素直に話してくれるだろうか...

⭐︎

あの日、コインランドリーで智君は誰かと話していたらしい。
車道を挟んだ所から相葉君のお母さんが見かけただけで何を話していたかは分からない。
しかし、智君のその時の様子はとても焦っているというか怯えているという感じで...
助けに入ろうかと車道を渡ろうとした時、車の列に遮られ渡った時には既に智君は足早に家に向かっていたらしい。

誰と話していたのか...


相葉君のお母さんが松岡先生に話した人物像に思い当たる人が一人いると言っていた。


もしかしたら...

智君の親父さんじゃないかと...


もし、そうだとして

智君にどんな用があったのか...

ストレスで熱を出すほどだ…
決して穏やかな再会ではなかったのだろう

蟠りが解けたお義母さんの話はどんな小さな事でも思い出した事を話してくれる。
だけど、親父さんの事は一度も聞いた事がない



何か言われたのか...

智君が幼い頃に出て行ったきり音信不通だったはず...もし、本当に親父さんだったとして今更、智君に会いに来る理由は...なんだ…
その事を俺に言わない位だ...良い事ではないのだろう...

松岡先生には、無理に聞き出すな
自分から話すのを待て、と言われたが...

鈍感な俺とは真逆で
どんなに取り繕って隠し事をしても智君には見透かされるのが常だ。

きっと...俺の出来もしない隠し事を智君は気付くだろう...、それなら...正直に聞いてみようか

海斗を抱きしめて泣いていた様子は普通じゃなかったのだから手遅れになる前にちゃんと解決してやらないと。

既に...出遅れてはいるが...まだ間に合うはず