この病院の個室には各病室から出る事が可能なテラスがある。

城島先生の手作りの二人掛けの木製スイングベンチ


カイはこのブランコが大好きで
僕の定期検診に来るたび飽きる事なく揺られてる。

そのベンチにカイと二人、並んで座る

僕はカイの心に話しかけてみた…


智「ねぇ、カイ?僕のお腹の中はどんな所だった?」

海「ふわふわしてたよ!さとちゃんが元気な時は、子供のテレビの時間のお日様みたいな色してた」

…幼児教育番組(子供のテレビ)がしてる時間、夕方のお日様。夕焼け色か…


智「お腹の中で僕の声、聞こえてた?」

海「うん!お歌、聞こえてた!」

智「そっか…カイはお母さんが僕で良かった?嫌じゃなかった…?」

海「良かった!ぼく、さとちゃんも翔くんも大好き!!」

智「ありがと。僕も、翔君も産まれて来てくれたのが海斗で本当に嬉しいよ…

ねぇ、カイ

カイのお名前がどうして "海斗" なのかお話しするね、聞いてくれる?」





智君と海斗が座るブランコを二人の背中が見える位置で座って見ていた。

智君の少し伸びた襟足が柔らかな風になびく
いつも自分で髪を切ってしまう智君を相葉君が自分の通う美容室に強引に連れて行き髪色まで明るくしてくれたお陰で、困ってしまうくらい智君の色気がダダ漏れだ…
海斗の髪は智君譲り
細くて柔らかくて…寝癖で跳ねた後ろ髪がブランコの背もたれからぎりぎり見えていて

その二人を見ていて


すごく、幸せだと…。



この二人を

智君がそうであるように

俺も

自分の命に代えてでも

守りたいと心から思った