翔「…どう言う事?」


智「翔君、ごめんなさい。翔君の弟なのに…。
僕、カイがいない事に動揺して…勝手に誤解していたんだと思う…」


翔「智君?…ごめん、分かるように話してくれないかな?」


海斗は智君の抱っこから降りて、弟のそばで鼻を掴んで遊んでいて、それを弟は笑って受け入れている…一体…どういう…


松「口挟んで悪いけど、君は医療従事者かい?」

それまで黙って見ていた松岡先生が弟に尋ねる


弟「いえ…児童福祉関係です…」

松「なるほど。
櫻井君、海斗の熱は彼のお陰で下がったみたいだ」

翔「え…?」

松「脇や足の付け根を効率良く冷やして水分を摂らせてくれたみたいだな。お陰で今は平熱だ」



智「翔君…僕ね、思い出したんだ…松潤が居なくて…松兄の所に行かなきゃ、ってタクシーを探してて…急に目の前が真っ暗になって…。
きっと倒れたんだと思う…でも、僕はこの通り無傷…カイを背負ってたから後ろじゃなく前に…とにかく絶対に後ろに倒れたらいけない、そう思った所まではちゃんと覚えてて…。
ここで目が覚めた時、僕は怪我をしていなかった

きっと…君が助けてくれたんだよね?」



"…ここ、汚れてる…"

弟の膝を撫でて、俺を見上げる



智君が倒れ落ちる前に弟が膝を付いてまで受け止めてくれた、と言うことか…。



翔「なぁ…ちゃんとお前の口から説明しろよ」


弟「…単純に、気に入らなかった
俺にだけ何も知らせてくれなくて
親父なんて…俺が…大学受験で上手くいかなかった時も就職先にも文句ばっかり言ったくせに
兄貴には結婚…とか、好き放題を許して…腹が立った…」

翔「だから…わざわざ、俺が東京に行くタイミングを狙って智君に会いに来たのか?」



確かに…父さんは昔気質な難しい人だ。
俺が芸能界に行った事も、また、それを辞めた事も決して良くは思っていなかったはず。

だから、智君との結婚も絶対に許してくれないものだと思っていた。
なのに、今は全てを理解し受け入れてくれたのは
母さんが味方に付いてくれたお陰もあるけど…
智君の人柄と海斗の可愛いさに呆気なく堕ちた。今じゃ立派なデレデレのジィジだ。


だから余計に気に入らなかったんだな…

でも…、智君と海斗に危害を加えようとしたのなら…海斗がコイツに懐いている今のこの状況って…



おおかた…親父と同じ、理由なのだろう…