A




翔「おねがい…ほんとうの ことを…」

智「…ほんとう…だよ…」


⭐︎


ダメだって…分かってるんだけど…
初めて聞くサトちゃんの声...
2人の会話が聞こえてきて動けなかった…

2人でゆっくり話して欲しくてカイを店まで連れて来たんだけど…オムツが汚れちゃって…
買いに行っても良かったんだけど、サトちゃんはカイの身に付ける物には拘ってていつもネットで頼んでるからその辺に売ってないんだ…


玄関のすぐそこで話してる2人

カイは翔ちゃんの子供じゃないって?
そんなはずないのに。

サトちゃんは翔ちゃんの事を思って嘘をついてるんだ…

どうしよう…

俺に何か出来るかな…
今、入って行ったら

盗み聞きしてるって…バレるじゃん!!

うぅ〜……


ギャン泣きのカイを抱っこして母ちゃんが待ちきれずに上がって来た

「あんた、何してんだよ」それだけ言って当たり前みたいにサトちゃんちのチャイム鳴らした。

何も知らないってのは最強だ

俺も母ちゃんに付いて玄関に入ると…サトちゃんが泣いてて…

頭がカァーーってなって…

相「翔ちゃん‼︎‼︎なに泣かしてんだよ‼︎‼︎」

母「泣いてんのはカイちゃんだろ!!さとちゃん、ごめんよ。お客さんだったのかい。オムツおくれ」

サトちゃんはオムツとお尻拭きを母ちゃんに渡した。
母ちゃんは何にも言わずサトちゃんの頭を撫でてから翔ちゃんの方を向いて フッ…って感じに笑った。

カイを俺に預けて、母ちゃん…サトちゃんの前に行って

ギューって抱きしめた。

サトちゃんよりだいぶ大きな母ちゃん。
その2人をみて、なんだろ…涙が出そうになった

母ちゃんはサトちゃんの顔を見て

母「さとちゃん やっと かぞくが そろったね」

そう言ってサトちゃんの頭をくしゃくしゃにしてる母ちゃんに、今度はサトちゃんがギューって抱きついて…声を上げて泣いた

母ちゃんも泣いてた…

いつの間にか後ろに立ってた父ちゃんもカズも…
風間ぽんも出て来て…

みーんな…泣いてた…

次は俺の出番だと言わんばかりに父ちゃんがサトちゃんの前に来て

父「さとし。ちちおやってのはな じぶんの こどもって わかるもんなんだよ。
カイも このひとが じぶんの とうちゃんだって わかってるぞ」

父ちゃんは俺の手からカイを抱き上げて、翔ちゃんの腕にカイを抱っこさせた。


カイは


翔ちゃんのほっぺを小さな小さな両の手でペチペチした後、キャッキャ!と体を揺らして笑ったんだ…

そして…


サトちゃんに向かって…

両手を上げて

一歩…二歩……

オムツがミツバチみたいに丸くなったお尻をフリフリしながら



初めて歩いたんだ……