ピンポーン♪

インターホンに連動して狭い部屋を明るくするパトライト

俺が同様の物を自宅に付けようとした時には
全く聞こえないのではないし
「翔君の家に僕への来客なんてないよ」
そう言って “付けない" でいた。


俺の手を、優しく引き剥がし玄関へ向かう智君と背中の海斗を見ていた…


訪ねて来たのは…相葉さん…


相「サトちゃん!カイ預かるよ!翔ちゃんとゆっくり話しなよ!」


*・゜゚・*:.。..。.:*・''・*:.。. .。.:*・゜゚・*



翔君がいきなり訪ねて来てくれて…

まさか

こんな事が起きるなんて思ってもいなくて…

だって…もう、翔くんに会う事は無いと思ってたから…
テレビや雑誌で翔君の姿を見る事だけが楽しみで…カイに、この人がお父さんだよ…って、誰にも言えない秘密を呟いて画面の中の翔君に

"翔君の子供だよ" と話しかけて


そして…

どうしようもない想いに堪えられずに
力一杯…カイを抱きしめた…

毎日がギリギリで…

きっと、僕が本当の女性なら…
きっと、僕が普通の家庭で育ったのなら…
きっと、僕の耳が聞こえたら…

そんな、もう、どうにもならない事への不満を吐き出す事も出来ず…毎日、不安と恐怖に縮こまっていた…

そんな時、沢山の手が僕とカイを助けてくれた
相葉ちゃん家族、松潤家族、風間ぽん夫婦、松兄や近所の人達…
普通に考えて有り得ない僕とカイ。
そんな僕達を偏見なく見守ってくれた。
だから…だから、僕は……生きている…
何度も…何度も手放そうとした命をみんなに繋ぎ止めてもらった…



突然やってきて、僕を好きだ、とか
カイを一緒に育てよう、とか…

意味の分からない事を言う翔君…。

頭ん中はパニックだ…どうして

ここが分かったんだろう…

どうして…カイが自分の子供だと知っているのだろう…どうして…どうして…??

息苦しくて…コーヒー豆が上手くセットできなくて、震える手に翔君の手が触れた…

たった、それだけの事なのに…息が止まりそうに胸が高鳴る


インターホンに反応して回るパトライトに助けられた…そっと翔君の手を離した…