二宮さんと相葉さんを残して俺は智君の住んでいるハイツまで来た。

相葉さんは多分、俺が智君に会う事を納得してくれてはいない。

きっと、この先も100%快くは思ってくれないだろう…でも、それは智君と赤ん坊を必ず幸せにする事でいつか分かってもらえると信じている。





視線を上げた。
2階の一番端。

窓際…赤ん坊…海斗を抱っこしてオレンジ色に染まりかける空を見ている


相変わらず…綺麗な横顔

上手く言えないけど
子供を産んだからかな
以前の柔らかいだけの雰囲気ではなく
凛とした佇まい…





さぁ…行こう




階段を上がり…
震える指でチャイムを鳴らす


少しして



扉が開いた…



ドアスコープの無い扉。
危ないなぁ…大家さんにお願いしてモニター付きのインターホンに替えてもらおうか…

隙間からそっと覗く小さな顔


驚かさないように

俺もそっと顔を隙間に合わせて覗き込む…




智「‼︎‼︎‼︎ しょ お く ん 』




久し振りに聞いた智君の本当の声。

変じゃ無いのに、喋る事をやめてしまって
なかなか聞くことが出来なかった声…


少し力を込めて開けたドアから一歩踏み出し



智君が抱いている海斗ごと抱きしめた。