足取りは重い...
進んでいるのか立ち止まってるのか大差ない速さでどうにかコインパーキングまで戻って来た。
助手席にはあのバイト君がいる。
運転席の二宮さんに小さく頭を下げて後部座席に乗り込んだ…
ニ「この人…相葉さんです。大野さんの事、多分一番知ってるから、いてもらってるけどいいですか?」
翔「ええ…」
相「初めまして!相葉雅紀です!相葉ちゃんと呼んで下さいね!」
元気に屈託のない笑顔のこの人は二宮さんの元彼で、あの中華料理屋さんの二代目だそうだ。
バイト君だとばかり思ってしまったのは、きっと俺達と同年代とは思えないくらいに元気でイキイキしてたからかな…
相「翔ちゃんがカイの父ちゃんでいいんだよね?」
いきなりの名前呼びに驚く暇もなく耳を疑う発言。
翔「……え?どう言う…こと?」
ニ「本当にアンタは変わんないね。ちゃんと最初から説明しなきゃダメだろ?」
相「え〜…カズ知ってるじゃん!オレ、そう言うの苦手なんだよぉ〜」
先程とは違い
なんだか、再会を果たした二人のイチャイチャを見せつけられているようで、今の俺は穏やかに笑えない…
ニ「私から説明するのでいい?
間違ってたら訂正して」
相葉さんに断りを入れて二宮さんは話し始めた。
*・゜゚・*:.。..。.:*・''・*:.。. .。.:*・゜゚・*
翔「そんな……
じゃあ…智君はたった一人で出産したと言うのか…?」
相「ウチの店の前で倒れてた時は空腹と貧血だったよ。でも一ヶ月過ぎた頃かなぁ〜、顔色も悪くてどんどん痩せてきちゃって…そんで、父ちゃんと松潤に診てもらったらカイがお腹にいるって!それからは松兄先生と松潤がタッグを組んで帝王切開でカイを産むまで、み〜んなでサトちゃんを見守ってきたんだ」
翔「それで……智君の身体は…?今は大丈夫なの?」
相「う〜ん…。やっぱ、女の人と全く同じって事じゃないんでしょ?だから、出産も死ぬかもしんない…って言われてたんだ…。
悪阻?が、産む直前までず〜っと続いてて、ホント棒みたいになってた。
カイを産んだあと半月近くも、サトちゃん眠ったままだった…」
もう…サトちゃん…ダメかも…って…
みんな、思っていたんだ…