今日はカイを相葉ちゃんの母ちゃんに預かってもらってる。
僕の検診の日だから。
一人でも行けるんだけど、また貧血で倒れたらダメだからって毎月、相葉ちゃんが連れて行ってくれるんだ。

松潤の先輩が僕が診てもらっていた松岡先生だったのには凄く驚いた。
妊娠中も松潤と一緒に僕の身体もお腹の中のカイもずっと二人で診てくれていた。

帝王切開の手術にも入ってくれた。

その時にも僕の身体を念入りに調べてくれていた。今後の事を考えて僕はもう妊娠しない処置をお願いした。
カイが居てくれればそれで十分だから。

僕はカイと二人で生きて行くんだ。

カイの為にも僕は健康でいなきゃいけない。
だから…ちゃんと定期的に診てもらうんだ。

今月も何も無ければいいんだけど…


相「ん?どうしたの?」

無意識についた、ため息…

智「ううん…なんでもないよ」

首を振ってゆっくり口を動かす。

相「なにか、しんぱい?」

智「………」

相「だいしょーぶ。きっと、なんともないよ!」


相葉ちゃんはとても気遣い屋さんで…
僕自身が気付かない体調不良なんかもいつも最初に気付いてくれるんだ…妊娠中、悪阻で起きていられない時も貧血の時も…いつも一番に気付いてくれた。
部屋が隣だから分かるって言うけど、それだけじゃないよね…壁が薄い部屋のお隣同士といっても気に掛けてなきゃムリだもん。

毎月、長い時間の検診にも必ず付き合ってくれる。感謝してもしきれない…

予約時間通りに松岡先生の診察室に案内された。

そこに、いつもは居ない人がいた。

松「大野君、こちらね私の先輩で耳鼻科の城島先生。今日は同席しても構わないかな?」

タブレットの画面の文字に頷いた。

城島先生は目元のシワがとても優しくて笑った顔があったかい先生だった。

松岡先生の診察が終わり、城島先生が僕の前に座ってゆっくりと話しかけてくれた。


城「きみの みみを みさせて くれないかな?」


智「みみ?」


城「そう。もしかしたら……」