俺の話を静かに聞いていた二宮さんはソファーの背に体を預けて息をついた

二「それが本当なら…アンタ…本当に酷い男だよね…。大野さんを女性として抱く事が出来るなら…尚更、身体の関係だけじゃなく心も他所に向けてたって事だろ?」

翔「何を言っても悪いのは俺…それは認めます。ですが…女性としての作りを持ってはいてもそれらは未熟で完全な物ではなかった…俺は智君を男性として愛してきました」

二「なんの言い訳だよ…やっぱり女にただ簡単にツッコミたかっただけ、って事じゃん?それとも何?ヤるのはめんどくさいから女に行くけど気持ちはちゃんと大野さんにあったと言いたいのか…?大野さんはアンタが心も自分から離れたと感じたから居なくなったって事だろうが…」

翔「俺は…今も智君を…智君の全部を愛してる」

二「笑わせんなよ…。仮に居場所が分かっても大野さんがもうアンタに応えるとは限らない。
それでも、捜すのか?芸能人のアンタにとっては相手が同性なだけでもリスクになるというのに?」

翔「俺の仕事が智君との関係にリスクになるというなら、辞めてしまっても構わない。でもそんな事をすれば智君は二度と俺の所には戻って来てくれない」


俺の仕事を理解し活躍する事をいつも喜んでくれていた。もし自分の為に辞めたと知れば…二度と会ってはくれないだろう…



長い沈黙…居心地が悪い…
智君となら会話が無くってもこんな風には思わないのに



二「……俺は俺のやり方で大野さんを捜します。あの人は…絵を描く事を絶対にやめられない。息をする事と同じなんだ…必ず何処にいても描いているはずだから…その線で捜します。連絡先、交換してもらってもいいですか?」

翔「…それは、もし見つかったら知らせてもらえると言うことですか?」

二「…嫌なら別にいいけど」

翔「いえ!是非…お願いします」

二「間違えないで。俺はね、別にアンタとやり直して欲しいから捜すんじゃ無い。
貴方はさっきリスクになるなら大野さんじゃなく仕事を切るといいましたよね?
その覚悟を…
それを…取り敢えずは信じる事にします」