遠のいていく意識の向こうで
スタッフに連れ出されていく翔君をぼんやりと見ていた
拘束とか...やめてあげて欲しいんだけど...
大切な誰かを亡くした人が我を忘れて暴れる事は珍しい事ではない
だけど、医師にここまで暴行する人はそう居ない。事務長が警察を呼ぶかどうか僕に聞くけど、大事にしたくない。
警察は呼ばないで欲しいと伝え、ニノを呼んでもらった。
この騒動はニノの耳にも入っていたのだろう
松潤と二人でやって来た
ニ「...どうして被害届、出さないんだよ」
潤「こんなになるまで、黙って殴られてたのか?」
智「いいんだ...。助けてあげられなかった僕が悪いんだから」
ニ「バカヤロウ...既に...呼吸はなかったんだろう?智でも蘇生は無理な状態だった。なら他の誰でも助けられない命だった...俺達は神じゃないんだ...どうにもならない事はある
それなのに...こんな事しやがって...」
文句を言いながら傷の処置をしてくれる。
顔がどうなろうと別に構わないんだけど...目の周りが腫れるのは困るな...2日後には手術が入っているし…
智「腫れるかな...?」
二「当たり前だ...このままレントゲン」
智「大丈夫。折れては...ない、よ...」
潤「お前ね...ちゃんと喋れてるつもりかもしんないけど...口開いてねぇからな。ちゃんと口の中も診てもらえ」
ええ...めんどくさいな...
鼻が曲がろうが
歯が折れようが、どうでもいいんだけど
仕事が出来なくなるのは困る...
だって、今の俺から仕事を取ったら
何も残らない。
唯一の生きてる意味なのに...。