どれくらい時間が経ったのだろう...


すっかり陽が昇り日常が始まる


隣の濃ゆい顔の男も

腕を組んだままの姿勢で

恐らく一睡もしていない


人が動き始めた

その人達は誰もが哀れんだ顔を隠すように頭を軽く下げて通り過ぎて行く



コツコツと杖を付く音が響く


それに気付いた松本は立ち上がり頭を下げた


敏「ご苦労だったね...君は帰って休みなさい」


潤「...いえ...まだ、大丈夫です」


友「無理をしてはいけないよ。知念が代わるから二宮を連れて戻ってくれ」


潤「...はい」


重い足取りで帰っていく松本を横目で見送る。

少し距離はあるが、この二人からの威圧感は半端ない


正直...怖い

隙がなく

瞬きでさえ静圧されるんじゃないか...




敏「君に会うのは二度目か...櫻井翔君だね?」


翔「...はい...」


敏「...なるほど...智がイケメンだイケメンだと騒ぐ通りの男前だね。今回の件...詳しい事はまだ分からないが...どうやら君の所の相葉君が、智を庇ってくれたようだと聞いた」


翔「...そうなんですか...オレ...僕は何も知ら無くて...あの...なんて言ったらいいのか...」


敏「.正直でいい事だ。

..君は...この先、家業を継ぐのかい?」


翔「...分かりません...こんな事が起きてしまうような世界...自分がやっていけるのか分からなくなりました...」


友「...なら、引っ込んでいなさい。継ぐ気がないなら、一切の手を引いて表に出て来てはいけないよ。見てみなさい...ウチのあの子は智の盾になるなら命なんて惜しくない位の忠誠心と敬愛を持っている。


今回の件で君に直接の原因がないと頭では理解していても...今の智の姿を見れば全てを顧みず君に襲い掛かる勢いだ...


君のような頭の良い青年には理解出来ないだろう?そういう理不尽が罷り通る世界だ」



敏「友和、よしなさい。

他所の事に口出しは御法度だよ。

櫻井君...君に...一言だけ言っておく

理由がどうあれ...それが正当かどうかなんてのは私共には関係がない。

ただ一つ、ウチの大事な跡目がアンタん所のチンピラに手を出された。

それを黙って見過ごすほど...目は曇っていないんでな...この年寄りがおとなしくしているうちに...今後一切、智には関わらないでおくれ」



そのつもりだったさ...


智君に危険が及ぶくらいなら

忘れましょう、と...手放したのに...



近寄って来たのはそっちじゃないか...