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翌日、ホームルームで出欠を取った後、それぞれの持ち場へと分かれて行った。

時刻は8時50分になろうかと言う頃、Breeze とviolet butterfly は、共にチューニングを終えて、多目的室のモニターの前に集まった。

モニターは2つあり、それぞれ第一体育館と第二体育館の様子を、ライヴ中継で確認する事が出来る。

9時になると、第一体育館では吹奏楽部の演奏が、第二体育館では、演劇部によるラプラスの魔女が始まった。

第一体育館の午前中の予定は、吹奏楽部と、落語・漫才同好会である。

初日の午後、早く終わってしまった並びだけに、2日目の今日も、早く終わってしまうのではないかと言う不安がよぎったが、どちらも予定の時間までの演奏と演出を披露した。


第二体育館では、10時28分に、演劇部によるラプラスの魔女が終わると、violet butterfly が演奏の準備に入った。

10分弱だろうか、violet butterfly の準備が整うと幕が開き、violet butterfly の2日目のライヴが始まった。

“ ここから始まる Fly High Together ” で始まる Hello To The World 。

「ライヴの最初はコレ❗️」

と言う七海の選曲で、勿論ボーカルも、七海が担当している。

1曲目からノリの良いアップテンポな曲の為、演奏している5人は勿論、観客席もノっている。

Hello To The World を終えて数秒後、矢釜がバチを3回叩くと、

「My Love is Forever~🎵」

と、有坂が歌い、出会った頃の様に の演奏に入った。

有坂の綺麗で透き通った伸びのある声だった為、

「あっ、好きぃ~💕」

と、雨都は思わず言ってしまった。

すると、

「それ分かるけど、私のバラード好きって言ってくれた事あったじゃん❗️」

と、霜月がヤキモチを妬いたが、雨都としてはごく自然な、深い意味のない素直な反応で、霜月は、自身のバラードが好きと言われたのが嬉しかった様だが、それはそれ、これはこれであり、バラードとアップテンポな曲とでは、比べようがない。

しかし霜月は、それを分かった上で、敢えてヤキモチを妬いた様だ。



Hello To The World、出会った頃の様に、Face The Change、snow drop を続けて演奏し、

「皆さんこんにちは❗️軽音部の violet butterfly です❗️宜しくお願いします❗️」

そう言った矢釜は、

「昨日は先輩達が午前中に演奏したんですが、今日は私達が、この時間に演奏させて頂きます。」

と続けると、最初の自己紹介を、有坂に振った。



「みなっっっさ~~~ん❗️こ~んに~ちは~❗️」
と、有坂が投げ掛けると、
『こ~んに~ちは~!!
と、会場全体から返って来た。
「おお❗️今日は一発だ🎵」
と、笑いながら言った有坂は、感謝を述べた後、
「violet butterfly ギター担当の、有坂凛々です❗️私達は、メインボーカルが未だ決まってなくて、曲によって棹組の3人がそれぞれ担当する様にしてるんですが、オリジナル曲が増えて来ればハッキリ決まると思うので、もう暫く待っててください❗️」
そう言った有坂は、次の自己紹介に、七海を指名した。

「はい❗️violet butterfly ギター担当の、七海心愛です❗️さっきりんりんも言ってたんですが、私達まだメインボーカルが決まってないんですよ。だからリードギターとリズムギターもハッキリと決まってなくて、曲毎に決めてるんですよ。ただ、先輩達も、曲によってはリードギターとリズムギターが入れ替わったりするんですが、あくまでも私達は、メインボーカルが決まり次第、リードギターとリズムギターも決めようと思ってるので、もうちょっとだけね、待っててください❗️」
と、ややはにかんだ七海は、次の自己紹介に渡辺を指名した。

「はい❗️violet butterfly のベース、渡辺彩香です❗️メインボーカル良いですよね~。私、メインボーカル憧れてるんですよ~。カバー曲が多いうちはね、りんりんとななみんと私の3人で分担してるんですけど、そのうちね、メインボーカル決まると思うので、待っててくださいね~🎵」
と、照れながら、小悪魔チックに言った渡辺は、次の自己紹介に、古川を指名した。

「は~い❗️violet butterfly キーボードの、古川礼芽で~す❗️なんか彩香が可愛い言い方してて、きゅん💕ってしちゃったんですけど、皆さんどうですか❓️可愛かったですか❓️」
と、古川が会場に投げ掛けると、会場からは、歓喜に近い声や、渡辺に向けた声援が上がった。
それに対して、渡辺が手を振って応えると、
「メインボーカル、凄い悩み所なんですよね~。りんりんも、ななみんも、彩香も、3人ともそれぞれに良さがあって、三者三様で凄い魅力的だから、決めるの難しいんですが、決まるのを楽しみにしててください❗️」
と、古川が言い、自己紹介の最後のメンバーに、矢釜を指名した。

「はい❗️violet butterfly のリーダーで、ドラム担当の矢釜志伊奈です❗️皆メインボーカルの話をしてましたが、オリジナル曲が増えて来たら決まると思います。あやめろが話した事も一理ありますが、決まるまでもう少し待っていてください。」
と言った矢釜は、
「さて、今日のセットリストは、相変わらずカバー曲中心なんですが、その中に、夏以後に出来た新曲が、2曲入ってます。その内の1曲が、これから演奏する “ 紫陽花が咲く頃に ” なんですが、この曲は、ギターのりんりんが歌詞を書いて、キーボードのあやめろが、メロディーを書きました。」
と続けると、有坂と古川は、それぞれ右手を上げた後、軽く一礼をすると、
「それでは、新曲の紫陽花が咲く頃に、カバー曲の FOREVER YOURS とダイヤモンド、3曲続けて聴いてください。」
と矢釜が言い、3曲の演奏を終えると、再びMCの時間となった。
「有り難うございます。私達のライヴは、これから中盤に入って行きます。昨日もやったんですが、中盤では、MCを挟まずに5曲以上続けて演奏すると言うセットリストを組みました。昨日は25分くらいで、今日も同じくらいの時間、MCを挟まずに演奏させて頂きます。」
と、古川が言うと、会場からは応援の声が上がり、矢釜の合図で演奏が始まった。
檄!帝国華撃団、ライオン、M、ロストワンの号哭、千本桜、ゴーストルールの6曲を演奏すると、やはりまだ慣れていない為か、バテ気味の様子が見て取れるが、会場は盛大に盛り上がっている。
violet butterfly のメンバーは、深呼吸を数回した後、終盤へと向かうMCに入った。
「有り難うございます。私達の今日のライヴは、これから終盤へと入ります。終盤に演奏するのは6曲を予定していて、先ず3曲演奏させて頂くんですが、その最初の曲は、“ fire girl , fire boy ” と言う曲なんですが、この曲は、ベースの彩香が歌詞を書いて、キーボードのあやめろが、メロディーを書きました。」
有坂がそう言うと、渡辺と右手を挙げた後、軽く一礼をした。
「fire girl , fire boy は前向きな歌詞で、ロックに近いアレンジの曲に仕上げました。その後は、広瀬香美さんの promise と、けいおん!のぴゅあぴゅあはーとを、演奏させて頂きます。」
七海がそう言うと、渡辺がメインボーカルを務める fire girl , fire boy の後、七海が promiseの、有坂がぴゅあぴゅあはーとのメインボーカルを務め、fire girl , fire boy、promise、ぴゅあぴゅあはーとの3曲を演奏すると、会場からは大きな拍手が上がり、violet butterfly の演奏は、最終盤を迎えた。
「有り難うございます。私達 violet butterfly の演奏は、残り僅かとなりました。最後の曲は、ZONE さんの恋々···と白い花、大黒摩季さんの熱くなれを、演奏させて頂きます。」 
と、古川が言うと、有坂と古川が目を合わせ、アイコンタクトを交わしながら、古川の伴奏に合わせ、有坂のメインボーカルにて、恋々···と白い花を、七海のメインボーカルにて、熱くなれを演奏すると、violet butterfly の5人は感謝を述べ、舞台袖へと下がると、アンコールを望む声と手拍子が上がっている。
その歓声と手拍子がピークに達したであろうタイミングで、violet butterfly がステージに登場した。
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