二人を見送った後、私は心の中に、なにか温
かいものが生まれたような気がしていた。そ
れは、潤君に対する愛?それとも情?どっち
にしろ、私にとって大切な感情だ。今まで以
上にそう感じている。
夕方。リビングには夕日が差し込み始め、テ
ーブルもソファーも本棚も、部屋全体がオレ
ンジ色に染まっている。さっきまでいた、杏
子さんと優君の余韻が残るこの部屋に、より
ノスタルジックさを映しているようだった。
「潤君、お母さんいたんだね」
少し睨みを利かしながら、潤君に尋ねる。
「はあ???」
彼は驚いたように目を丸くしている。
「だって、小さいころいなくなったって言
ってたから・・・、私てっきり亡くなった
のかと・・・」
「あははははっ!俺、死んだなんて一言も
言ってないし」
「そりゃーそうだけど。でも、離婚したと
も言ってなかったよね」
「おおっ、そ、そうくるのか・・・」
彼は笑いながら私に近寄って来た。「えっ
なに?」という顔つきの私を、彼は優しく
両手をまわし、背後から抱きしめてきた。
目 次 ![]()
・・・ 再 来 ・・・
・・・ 初恋の人 ・・・
・・・ 若い肌 ・・・
・・・ 秘 密 ・・・
・・・ 苦 悩 ・・・
・・・ 新しい感情 ・・・
・・・ 子供の目
・・・
・・・ 大切な人
・・・
・・・ 同窓会
・・・
・・・ 真実
・・・
・・・ 思い出の地へ
・・・
・・・ 謎
・・・
・・・ 母親
・・・
「ノスタルジア」はまだまだ続きます![]()