二人顔を見合わせると、なんだかお互いまだ


照れくさい。そんな中、私がお茶を運ぶと、


杏子さんがハスキーな声で話始めた。


「あの子今幸せなのね。だってあんなに楽し


そう」


そう言って、潤君を目を細めて見ている。


「でも、お父さんのことひどく心配してて


・・・」


「そうね。私もあの人も潤には本当に苦労


かけっぱなしよね。まったく親二人して、


なにやってんだか。特に私は、あの子にと


っていい母親ではなかったから・・・」


杏子さんはそう言うと、目を伏せた。庭で


は優君の笑い声が響いている。



「私たちあの子が5歳の時離婚したの。ま



だ小さい潤は旦那が引き取るってことにな


って。離婚の原因は気持ちのすれ違いだっ


たんだけど、そもそもこれって結婚当初か


らあったことなの。私たちは知り合ってす


ぐ結婚したの。できちゃった婚でね。で、


すぐに潤が生まれたんだけど、なんかぎく


しゃくしちゃって。気づいたらお互い気持


ちが離れちゃってたわ。私も最初は愛って


感情もあったんだけど、旦那の方はどうだ


ったんだろうって、今になって思うことが


あるのよ・・・」


杏子さんは深いため息をついた。杏子さん


と公平君の夫婦だった頃の話。それは潤君


でさえ、知ることのない話。私の心はざわ


ざわと音をたてている。その時の公平君の


心の中に、私の存在がないことを祈りなが


ら・・・。

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  ・・・  再   来   ・・・


  ・・・  初恋の人   ・・・


  ・・・  若い肌     ・・・


  ・・・  秘   密   ・・・


  ・・・  苦   悩   ・・・


  ・・・ 新しい感情   ・・・


  ・・・  子供の目   ・・・


  ・・・  大切な人   ・・・


  ・・・  同窓会    ・・・

 

  ・・・   真実     ・・・


  ・・・ 思い出の地へ  ・・・


  ・・・    謎      ・・・


 ・・・    母親     ・・・



ノスタルジア」はまだまだ続きます音譜



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