「ほらここ、俺の部屋」
潤君が部屋を指差し教えてくれた。日当たり
の良いその部屋には、机やベッドなどが置か
れていたのだろう。壁の日焼けが、そのこと
をものがたっている。
「へー、ここが潤君の部屋だったんだ」
私が部屋を覗き込んでいると、杏子さんが言
った。
「まったく、この部屋がどんだけ汚かったか
理沙子さんに教えてあげたいわ。ねっ、潤!」
「知るかよそんな昔の事!」
私は二人を見て、思わず吹き出してしまった
わかりますよ、お母さん。今でも潤君、ちっ
とも片付けできませんから。
クスクスと笑う私に杏子さんが話しかけてき
た。
「なんだろう、潤の雰囲気が変わった気がす
るわ。いつもトゲトゲしてたのに・・・。ま
あ、離婚した私に原因はあるんだけど。でも
今日はなんか違ってる。きっとこれって理沙
子さんの影響なのね」
杏子さんは微笑みながら私の方を見た。私が
緊張した面持ちで微笑み返すと、杏子さんは
続けた。
「潤の笑ってる顔、久しぶりだなぁー。あの
子にはいろいろつらい思いばかりさせちゃっ
て・・・。しっかりしてるからって我慢ばっ
かりさせたなって、今頃になって思うの。父
親の事でもそう。あの子私が再婚してるから
って、遠慮してるのよ。自分が迷惑かけて、
私が気まずくなるかもって思ってるのよ」
その通りだと思った。今杏子さんが言ってい
ることは、すべて正解だと思う。潤君は、い
ろんな人に気を遣ってる。だから、私にだけ
は、甘えてほしい。素のままの自分をさらけ
出してほしい。改めてそう思った。
目 次 ![]()
・・・ 再 来 ・・・
・・・ 初恋の人 ・・・
・・・ 若い肌 ・・・
・・・ 秘 密 ・・・
・・・ 苦 悩 ・・・
・・・ 新しい感情 ・・・
・・・ 子供の目
・・・
・・・ 大切な人
・・・
・・・ 同窓会
・・・
・・・ 真実
・・・
・・・ 思い出の地へ
・・・
・・・ 謎
・・・
・・・ 母親
・・・
「ノスタルジア」はまだまだ続きます![]()