エディ・レッドメイン主演の「リリーのすべて」を観ました。
1920年代に生きた
世界初の性別適合手術を受けた画家アイナーと、同じく画家であるその妻ゲルダとの愛を描いた内容で、
アイナーの中に存在するリリー=エルベの日記を元にして作られた映画です。
この映画がどこまでその日記のリリーという人を忠実に表して描かれていたものなのかがわからないだけに
描かれてる映画の内容から感じたものを私も感想として述べる事しか出来ませんが…
それだけ私にも専門的な知識もないし、どう捉えて良いのか
それでも色々考えさせる映画ではありました。
一言ではいい現せないけれどゲルダの深い愛には感動しました。
そして、エディ・レッドメインの演技は素晴らしく、演技とは言え
女性らしい所作をよくあそこまで習得したものだと感心させられました。
誰もが内に男性性と女性性を持っているとは言え
心は男性だけれども女装がしたい人とか
持って生まれた男性的な肉体や、服装は男性的なものを好んでも心は女性ではなく男性を求めるとか、 色々いらっしゃると思うのですが
男性として生きてゲルダという女性と結婚したアイナーが
内に暗い闇を抱えて生きてきたとは言え、何故急にリリーという内なる女性が完全に目覚めてしまったのか…という疑問においては
なんか釈然としない部分もあり、私なりの解釈では絵のモデルの代役で女装したことが彼の中にあるリリーという存在を誘発したように思えたのだけれど
そこは正しい解釈なのか よくわかりません。
人は誰もが環境や経験に影響される部分は少なからず持っていると思います。
それが本能的に既に内にあるからこそだったにせよ、だとしたら
きっかけになる出来事なりがスイッチを入れることになった…
そう解釈することで府に落ちる内容ではありました。
男性として愛した夫を
ゲルダは最終的には人としての愛で包んだ…そう思いました。
愛とは相手の一部ではなくすべてを包み込む男女の性さえ超えた先にあるもの…そう感じさせられるほどにゲルダの愛は大きいものだったともいえるし
けれどもゲルダとて
葛藤がなかったわけでもなく…
男とは、女とは?という 様々な概念とでもいいましょうか、
人間界の中に生きると
その性別的なことを意識せずにはいられない環境がありますが
昔、アカラとアマラでしたっけ?狼に育てられた人間の話がありましたが
男女を意識しない世界に生きていたら
男女の凹凸さえ、どちらが男でどちらが女という区別さえ知らないでいたら、
違いがあるなという認識はそれでも他を見る事で生まれるのかもしれないけれど
そこについて悩む世界はもしかしてないのでは…と思ったり。
生まれたばかりの赤ちゃんが、自分は男だからとか女だからとか意識していないように。
掘り下げて考えると
いやいや生まれ変わる時に男として生まれるぞ!とか細かいことを言えば あるのかもしれないけれど
そういうのは度外視しての話しですけれど。
書いていて訳わからなくなってきましたが
違いがあるからこそ自分という存在を知る事ができる反面、
その違いを知ることで
比べるということも生まれて優劣を感じてしまうこともある。
メディスンカードの馬のメッセージはパワー。
他人の芝生が青く見えても、自分にしかないパワーというものを誰もが持っている。
違いは否定的要素ばかりではなく
肯定的な側面もあることを忘れてはならない。
リリーという存在が大きくなるにつれ、アイナーもゲルダも葛藤を大きくしていきます。
かつて愛した夫がそこにいるのにそこにいない。
ゲルダが男女を超えた愛を示したとは言え、
アイナーにもそれは最後までゲルダと同じように愛はあったのかもしれない。
ただ、異性として…という枠組みで相手を求めようとすると成立しない関係になってしまった。
求められないものがあるのを理解しつつもそれも相手の一部ではある…というのを受け入れるのは
とてもエネルギーのいること。
それでもいい…と思うには、自分を納得させるそれなりの理窟がなければ
頭の理解を超えることはなかなか難しいことだと思います。
1920年代ともなれば
今よりもっと閉鎖的な時代で、その愛を貫くのはとてつもないエネルギーが必要だったと思います。
アイナーのリリーへの変身を受け入れたゲルダの思いは愛と言わずになんというのでしょうか?
本当の自分になりたいアイナー、けれどもリリーではないアイナーという存在は偽者だったのか?本当ではなかったのか? それも違うような気がします。
でもアイナーが考えた本当の自分がリリーだったのでしょう。
考えれば考えるほど
よくわからなくなるけれど、葛藤しながらもアイナーを受け入れようとするゲルダの姿には心打たれるものがありました。
映画の見方は色々ですが
知識のない私がアイナーとリリーの心情を深く理解することは出来ないけれど
世界初の性別適合手術を受けた人であるアイナーが後に続く同じ思いを持った人たちに大きな影響を与えたことは言うまでもありません。
人を愛するとは、本当の自分とは…様々な角度から考えさせられるこの映画、是非皆さんにもお勧めしたいです。