父は、とても家に帰りたがっていました。
いつしかモルヒネを打つ事になった時
そのモルヒネのせいで
力ついた父をトイレに連れていくのも体が重いし
至難の業でした。
「こんなとこにいる場合じゃないんだ
帰らないと!」という父をベッドの横に夜中並んで座り
なんとか寝かせようと
説得する日もありました。
夜の面会終了時間がくると私と姉がバトンタッチし、片方が病院に
片方が母を連れて帰る毎日でしたが
ある日、父がまるで子供のように体育座りをしながら、膝下をすりすり手でさすりながら、
母にむかい
「もう少し…いてくれないかな…」と甘えました
その日は結局母を病院に泊める事にし
夜中は相変わらず私が診ていたのですが
夜中父がキョロキョロしているので
「隣に寝てるよ」と
母を探していた父に言うと、
「幸せそ~に寝てらぁ♪」と、
嬉しそうにニコニコして
眠りにつきました。
余程嬉しかったみたいです。
昔、冬の寒い日の夜にマフラーを母が父の首に巻いてあげ床についたそうなんですが
夜中ふと気がつくと
そのマフラーが自分の首に寒くないようにと
巻かれていたそうです。
いつ亡くなるかもわからない毎日に
今日なのか、それとも明日なのか…という中病院に通っていた時は
プレッシャーに似た張り詰めた緊張が続く毎日でした。
でも片時も母と離れる事なくいつも一緒にいた父にとって
年老いた母を病院に泊める事はできないとはいえ
母が帰る時、毎日どんな気持ちで見送っていたのだろう…と思うと
今でも切ない気持ちになります。
だからこそ安心の笑みをこぼし、きっと、
その日はようやく安心して眠れたのでしょう。
病と闘いながらも
淋しさとも闘い続けなければならない、、、
周りにできる事は何か…
というのをあらためて考えさせられました。
~つづく~
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