母親になってわかったことは
虐待って決して他人事ではない、
ということでした。


出産後、想像以上に身体はボロボロで。
かつて経験したことのないレベルの
長期間に渡る寝不足。
泣き止まない我が子を何時間も抱っこして。
授乳が上手くいかないときは
あっという間に乳腺炎で38℃の発熱。
でも子どもは待ってくれないから、
爆発しそうな痛い胸に子どもを抱いて、
また抱っこゆらゆら。。。


この状況で、イライラしないほうが
難しいのだと痛感しました。
気合いとか根性とか努力とかが
全く通用しなかった。
「とりあえず1人では無理」な世界が
そこにありました。



少し昔話をさせてください。


私が以前住んでいた家は、
娘が少しでも泣こうものなら
隣の家のおじさまに壁を
ドンドンされるような環境でした。
鉄筋コンクリートでファミリーも
たくさんいるマンションでしたが
それでもやはり集合住宅は音が
伝わってしまいますので、
その部屋では子どもと普通に生活するだけでも
難しかったです。


やがて私は壁ドンが怖くなり、
次第に娘を泣かさないこと、
泣いてもすぐに泣き止ませること、
大きな声で笑わせず、小さな声で話させることに
いつも必死になっていました。


そんなことばかり気にしていたから、
娘が楽しそうに話しかけてきてくれても
私たちの笑い声が引き金になって
また壁ドンドンされるんじゃないかと
気が気じゃなかった。
だから、娘が遊んでいても、
話しかけてくれても、
大きな声出さないでね!って
一言目には言ってしまう。
いつしかそんな状況になっていました。


そんなんだから、当時の育児の質は
おそらくめちゃくちゃ悪かったと思います。
保育園にも幼稚園にも通っていなかったから、
娘の世界は家だけだったのに。
世界で一番安心できるはずの家で、
少しでも大きな声を出したり、
悲しいことがあって泣いてしまったら、
ママはいつもピリピリしだす。
今思えば私は娘を一番に気にかけるのではなく、
お隣さんを気にかけている状態に
なっていました。


娘はきっと家が楽しくなかったと思います。
もし人生で1回だけタイムスリップできるなら、
あの時に戻ってあの数ヶ月間、
長女の育児をやり直したい。
そんな、悔いの残る育児をしてしまいました。


もちろん、
おじさまを責めるつもりはありません。
みんなが静かに心地よく暮らす権利があるから。
本当は優しい人だったのかもしれないけれど、
その時期のおじさまには、
余裕がなかったのかもしれません。


でも。
結局音を出してしまっている我が家が悪いからと
耐えきれずに逃げるように引っ越したけど、
正直、当時は私も泣きました。


それで、色々と考え方の勉強をしたり、
今の家に引っ越しをして、
平和に育児できるようになって、
思ったことがあるんです。


あと、数ヶ月、いや1ヶ月でも長く
あの家で暮らしていたら、
もしかしたら
私は娘が泣き止まなかったときに
ひどく手を上げていたかもしれない、と。


もちろんどんな状況でも
虐待はあってはならないこと。
それは100%、当然そうです。
そこを曖昧にしたくはありません。


でも、虐待は決して特別な人だけが
するものではないのだと、
私はわかってしまいました。
環境がそうさせていることもきっとある。
私は夫が仕事でいない時間は、
孤独で怖かったです。
子どもの存在を、周囲に許されていないのが
悲しかったし苦しかった。
自分の子どもが喜ばれる存在でないのだと
思わなければならなかったのが、悔しかった。
当時は、私が静かにさせなければいけないと、
いつも全身緊張していました。
何度静かに、と伝えても
全然理解してもらえないことに
イライラして、世界で一番大切な娘に
ひどいことを言ってしまわないか、
自分自身が怖かったです。


壁ドンドン。
たったそれだけでも、
人は、育児中の母親は、
簡単に追い詰められるのだと知りました。


孤独な育児で母親を追い詰めたら。
誤解を恐れずに言えば、
母親は消えたくなってしまいます。
大袈裟ではなく、天気が変わるようにあっさりと。
フッとそういう気が舞い降りる、
そんな怖さを私も体験しました。
そして、もしそれが回避できたとしても、
今度は抑えることができない感情が
子どもへと向いてしまうんですよね。
悲しいけれど、
そういう仕組みになってしまうのかと、
私は自分の経験から理解しました。
人間、誰しもが
いつでも健全にポジティブで、
メンタルタフネスでいられるわけでは
ないのだと思い知りました。


だから、私はお母さんたちに
優しくしたいと思っています。
どんな気持ちも受け止めたいです。
私自身がそうして欲しかったから。
そして、そういう人に救われたから。
それこそが、ママを守り、
お子さんを守ることに繋がると思っています。


大変なこと、大変って言っていいし、
辛いこと、辛いって言っていい。
もう嫌!って思ったら、吐き出していい。
やりたいことがあるのなら、
ママだからって我慢しないで
できるだけやってほしい。
24時間常に家族のサポーターで
いなくても大丈夫です。
無理な時は、助けて!って、
疲れちゃったら、手伝ってほしいです!って
もっと簡単に声をあげられるようにしたいし、
それを受け止めたい。


そして、無理な環境からは逃げていいと、
環境を変える勇気を渡したい。
環境と考え方が変わることで
育児の主成分が
「苦しい」から「楽しい」に変わったよ、
ということも伝えたいです。
(私の育児はまだ現在進行形、
始まったばかりではありますが。笑)


ママが辛いのは、ママのせいではなくて、
環境のせいでは?と疑ってみてほしいんです。
そして、自分を責めずに育児するための
考え方のコツを学ぶのも、
とても有効だと思います。
環境のせいなら、環境を変えたら
ガラリと世界が変わります。
考え方は、意識し出したその日から
自分の身体一つで変えられます。
こっちはリスクゼロで、はじめられます。


今日は母の日だから。
こんな時間になっちゃったけど、
全てのお母さんに、
ありがとうございます。と伝えたいです。


そして、もし育児で悩んでいる方が
これを読んでくれていたら。
無理しないでね。と、
私も同じだよ。って伝えたいと思います。


全てのお母さんたちに、
愛をこめて。